著者
深谷 優子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.78-86, 1999-03
被引用文献数
1 2

本研究では, 生徒の学習を促進させる記述に改善するための, 実際的なテキスト修正の手法を提案する。ここで用いた手法はBritton & Gulgoz(1991)に由来するが, 本研究においてはそれを日本語のテキストにも適用可能で実用的となるように調整した。予備研究においては, その手法を中学校の歴史の教科書からの抜粋に適用し, 局所的な連接性がオリジナルテキストよりも高まるようにした修正テキストを作成した。実験では, テキスト該当箇所の内容をまだ学習していない中学1年生115人を2群に分け, 1群にはオリジナルテキストを, もう1群には修正テキストを呈示して学習させた。そして彼らの遂行成績を直後条件と遅延条件とで測定した。結果は, 修正テキストを読んだ群の方がオリジナルテキスト群よりもよい成績であった。この研究からの教育的示唆は以下の2点である。a) 新しい事項をテキストで学ぶときには, 局所的な連接性がよい(配慮されている)テキストを用いる方が, そうでないテキストを使うよりも生徒にとって恩恵がある。b) 本研究で用いた局所的な連接性の修正手法は, 教科書にも実際に適用可能であろう。

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