- 著者
-
河内 清彦
- 出版者
- 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.4, pp.471-479, 1999-12-30
本研究では,視覚障害学生との交流に対する非障害学生の自己効力を測定するための20項目からなる「キャンパス内交流自己効力尺度(CISES)」を作成した。このCISESによる調査を375名(男子143名,女子232名)の非障害大学生に実施し,その信頼性と妥当性を検討した。因子分析の結果,河内・四日市(1998)の研究で見いだされた2因子と完全に内容が一致した2因子が抽出された。そこで,各因子を代表する10項目からなる「交友関係」と「自己主張」という下位尺度を構成した。下位尺度の再検査信頼性係数はそれぞれ0.778と0.814,Cronbachのα信頼性係数はそれぞれ0.868と0.851であった。また,下位尺度の第1主成分寄与率は,それぞれ47.0%と43.6%で,いずれも満足すべき値であった。G-P分析の結果も,全項目が有意であり,弁別力が確認された。一方,両下位尺度は,視覚障害者との交流に対する当惑の程度を表わす「交流の場での当惑」尺度と負の,また視覚障害者に対する支援意欲と正の関係があり,併存的妥当性が認められた。「交友関係」の下位尺度では,ボランティア活動へのポジティブイメージを表わす「貢献スケール」と正の,またネガティブイメージを表わす「偽善視的スケール」と負の有意な相関関係があったのに対し,「自己主張」の下位尺度では,視覚障害者の能力の過大視の程度を測る「特殊能力」尺度と負の有意な相関関係があった。このことから,両下位尺度の違いが明らかとなり,構成概念妥当性が示された。さらに,両下位尺度は,ボランティア活動参加経験との間にも有意な関連が得られ,基準関連妥当性を示すものと解釈した。