著者
宮本 俊和 河内 清彦 柿澤 敏文 和田 恒彦 徳竹 忠司 濱田 淳
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

本研究は特別支援学校(盲学校)理療科で鍼灸マッサージの教科を教える理療科教員の臨床能力と資質向上を意図するとともに、筑波大学理療科教員養成施設のITを用いた授業の充実を図ることを意図した。研究成果は、研究成果報告書として全国の盲学校、鍼灸関連学校、視覚障害関連の教育機関や研究機関に配布した。報告書には、1)明治以降の理療科教員養成の歴史的変遷、2)鍼灸受療者の実態、3)日本におけるIT活用と盲学校理療科におけるIT活用、4)理療科教育における講義形式の授業(電子黒板やタブレット端末を利用した授業など)、5)実習形式の授業(解剖実習や鍼実技でのiPad、iPodの活用)などについて記載した。
著者
河内 清彦
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.19-32, 1979-10-15
被引用文献数
2

視覚障害者(児)に対する態度構造を自己の意見と社会的望ましさの視点から解明するため特教学生、盲学校教師(関係群)一般学生、普通校教師(無関係群)に質問紙調査を実施した。これらの回答を因子分析した結果、両視点に共通の因子が9個求められた。これらを一般化された拒否、統合教育、特殊能力、依存的な自己中心性、相互作用についての当惑、期待される盲人像、知的能力、家庭生活、失明の影響と名づけた。さらに自己の意見からは「社会保障」の因子が抽出された。またこの次元(因子)の一部を測定する暫定尺度が構成された。最後に因子得点に基づいて各群を比較した結果、最初の3つの次元において関係群と無関係群に、また「相互作用についての当惑」で一般学生と盲学校教師に態度の相違がみられた。これらは視覚障害者(児)を同じ人間としてみるか否かにその原因があると推測されるが、知識だけでは視覚障害者(児)問題の解決にはならず社会との交流の重要性が指摘された。
著者
河内 清彦
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.437-447, 2004-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

本研究では障害者に関する健常学生の抵抗感を軽減させるための手がかりを得るため, 健常学生の自己効力感及び障害者観に及ぼす障害条件, 対人場面, 個人的要因 (障害者への関心度, 性別, 援助経験) の影響を検討した。4障害 (視覚, 聴覚, 運動, 健康) 条件に対応した4下位尺度 (関係, 主張, 教育, 当惑) により658名の大学生に質問紙調査を実施した。因子分析の結果では, 特定の対人場面を表す下位尺度に関し, 4障害条件が共通の因子負荷量を示す「当惑関係」「自己主張」「統合教育」という3因子が抽出された。このことから, 健常学生の意識に及ぼす影響は, 障害条件よりも尺度内容に依存していることが明らかとなった。これら3因子と個人的要因との関連では,「当惑関係」因子は3要因と,「自己主張」因子は性別と関連が認められたが,「統合教育」因子はどの要因とも関連が認められなかった。一方, 下位尺度別障害条件と個人的要因との比較では, 視覚と聴覚の障害条件よりは, 運動と健康の障害条件の方が抵抗感が弱く, 性別の影響は下位尺度により異なっていたが, 関心度と援助経験は障害者と交流しようという積極的な意識を助長することが明らかとなった。
著者
河内 清彦
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.81-90, 2001-03

本研究では,視覚障害学生及び聴覚障害学生に対し大学生が想起するイメージの意味構造を解明するため,体育学系の男子学生108名と,教育・社会学系の男女学生137名にイメージ連想テストを実施した。得られた2686の記述語を,KJ法により分類し,43項目を選んだ。これらの記述語に数量化理論III類を適用し,標的概念と記述語の重み係数により相互の関連を検討した。その結果,障害学生の標的概念は,障害,性,学科を超え,「痛ましさ」と「忍耐力」の軸に囲まれた意味空間に位置していたが,記述語のレベルではグループ差がみられた。これらの標的概念と最もかけ離れていたのは,「好みの女子学生」と,「学力優秀な学生」の標的概念であったが,ここでは性と学科の影響が推測された。スチューデント・アパシー傾向を示す「自分自身」の標的概念は,他の標的概念との関連はなかった。障害学生の標的概念について記述語別の出現頻数による考察を行ったが,「視覚障害学生」は努力家で強く素晴らしいが,大変で苦しいという相反する記述語が共存していた。「聴覚障害学生」も全体的にはこれと類似していたが,性格面では前者が暗く,後者が明るいなど,部分的には障害種別の違いが示された。
著者
河内 清彦
出版者
教育心理学研究
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.81-90, 2001
被引用文献数
1

本研究では, 視覚障害学生及び聴覚障害学生に対し大学生が想起するイメージの意味構造を解明するため, 体育学系の男子学生108名と, 教育・社会学系の男女学生137名にイメージ連想テストを実施した。得られた2686の記述語を, KJ法により分類し, 43項目を選んだ。これらの記述語に数量化理論III類を適用し, 標的概念と記述語の重み係数により相互の関連を検討した。その結果, 障害学生の標的概念は, 障害, 性, 学科を超え,「痛ましさ」と「忍耐力」の軸に囲まれた意味空間に位置していたが, 記述語のレベルではグループ差がみられた。これらの標的概念と最もかけ離れていたのは,「好みの女子学生」と,「学力優秀な学生」の標的概念であったが, ここでは性と学科の影響が推測された。スチューデント・アパシー傾向を示す「自分自身」の標的概念は, 他の標的概念との関連はなかった。障害学生の標的概念について記述語別の出現頻数による考察を行ったが,「視覚障害学生」は努力家で強く素晴らしいが, 大変で苦しいという相反する記述語が共存していた。「聴覚障害学生」も全体的にはこれと類似していたが, 性格面では前者が暗く, 後者が明るいなど, 部分的には障害種別の違いが示された。
著者
河内 清彦
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.471-479, 1999-12-30

本研究では,視覚障害学生との交流に対する非障害学生の自己効力を測定するための20項目からなる「キャンパス内交流自己効力尺度(CISES)」を作成した。このCISESによる調査を375名(男子143名,女子232名)の非障害大学生に実施し,その信頼性と妥当性を検討した。因子分析の結果,河内・四日市(1998)の研究で見いだされた2因子と完全に内容が一致した2因子が抽出された。そこで,各因子を代表する10項目からなる「交友関係」と「自己主張」という下位尺度を構成した。下位尺度の再検査信頼性係数はそれぞれ0.778と0.814,Cronbachのα信頼性係数はそれぞれ0.868と0.851であった。また,下位尺度の第1主成分寄与率は,それぞれ47.0%と43.6%で,いずれも満足すべき値であった。G-P分析の結果も,全項目が有意であり,弁別力が確認された。一方,両下位尺度は,視覚障害者との交流に対する当惑の程度を表わす「交流の場での当惑」尺度と負の,また視覚障害者に対する支援意欲と正の関係があり,併存的妥当性が認められた。「交友関係」の下位尺度では,ボランティア活動へのポジティブイメージを表わす「貢献スケール」と正の,またネガティブイメージを表わす「偽善視的スケール」と負の有意な相関関係があったのに対し,「自己主張」の下位尺度では,視覚障害者の能力の過大視の程度を測る「特殊能力」尺度と負の有意な相関関係があった。このことから,両下位尺度の違いが明らかとなり,構成概念妥当性が示された。さらに,両下位尺度は,ボランティア活動参加経験との間にも有意な関連が得られ,基準関連妥当性を示すものと解釈した。
著者
河内 清彦 佐藤 泰正 黒川 哲宇
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-13, 1985-06-30

本研究では、特教学生・盲学校教師(関係群)と一般学生、普通校教師(無関係群)に視覚障害者に対する態度質問紙を自己の意見と社会的望ましさの規準で評定させた。正準相関分析の結果からは、自己の意見と社会的望ましさの下位次元間に対応関係のある5次元的関係性が見い出された。しかし、冗長度分析によると、互いに予測できるのは自己の意見分散の20.2%、社会的望ましさ分散の23.6%で、両者の線形独立の可能性が示唆された。また、因子得点によるグループの比較では、特殊能力は関係群が自己の意見で否定し、統合教育は普通校教師が自己の意見で否定、関係群が社会的望ましさで肯定し、当惑的拒否では、自己の意見、社会的望ましさ共、関係群が否定、無関係群が肯定し、相互理解では、それと全く逆の態度が見られた。このことから、予測の問題に焦点を当てた研究と態度改善での社会的望ましさの役割を顧慮した活動の必要性が提言されている。
著者
四日市 章 河内 清彦 園山 繁樹 長崎 勤 中村 満紀男 岩崎 信明 宮本 信也 安藤 隆男 安藤 隆男 前川 久男 宮本 信也 竹田 一則 柿澤 敏文 藤田 晃之 結城 俊哉 野呂 文行 大六 一志 米田 宏樹 岡崎 慎治 東原 文子 坂尻 千恵
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

研究成果の概要 : インクルーシブ教育を理論的・実践的両側面から捉え、国内外の障害に関する理念・教育制度の展開等について歴史的に解明するとともに、特定地域の幼児・親・教師を対象として、障害のある子どもたちのスクリーニング評価の方法の開発とその後の支援について、長期的な研究による成果を得た。