著者
柳井 晴夫
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-160,190, 1967
被引用文献数
2

1.大学における9つの系への適性診断検査を作成するために, 性格, 興味, 能力, 職業への関心, 高校教科の得意, 不得意の45の尺度からなる適性検査を大学の専門課程に学ぶ480名の学生に実施した。<BR>2.これらの被験者のうち, 現在学んでいる自分の専門にじゆうぶん適応していないとおもわれる人を除外し, 残つた人を9つの系の基準群として, これらの人が自分の所属している系に, 最も近く診断されるように多重判別関数方式, 因子分析方式による診断方式に従つて診断を行なつた。<BR>3.多重判別関数方式による診断によると, 9つの系は, 4つの因子でかなり明確に分離され, 各人の8つの因子得点と9つの系の重心との距離を測つて, 最も距離の短くなる系を最も適している系とする診断方式によつて, 基準群被験者360名のうちの76.1%が自分の所属する系に最も適していると診断される結果がえられた。<BR>4.因子分析の主因子解によつてえられた因子得点に基づく診断は, 多重判別関数方式による診断よりかなり精度が低いことが判明した<BR>5.距離の算出においては, 多重判別関数方式では市街モデルの方が, 因子分析方式がユークリッドモデルの方がより精度の高い診断がされた。<BR>6.多重判別関数と因子分析によつて得られる函子構成にはかなりの相違がみられる。<BR>6.自分の現在学んでいる専門にじゆうぶん適応できていない人の90%近くは, 自分の所属している系に遠いと診断され, 自分の現在学んでいる専門に比較的適応できていて, 自分の所属している系に遠いと診断された人は14名前後である。これらの結果から, 全体的にみてかなりの高い精度の診断の結果が得られたといえる。 (多重判別関数方式の市街距離モデルによる診断)<BR>7. 1人の例外もなく誤つた診断がされないようにしていくためには, テスト尺度の構成や新しい診断の理論方式についての検討が行なわれていかなければならない

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