- 著者
-
大野 政人
野坂 和則
- 出版者
- 日本体力医学会
- 雑誌
- 体力科学 = JAPANESE JOURNAL OF PHYSICAL FITNESS AND SPORTS MEDICINE (ISSN:0039906X)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.1, pp.131-140, 2004-02-01
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
-
3
運動誘発性筋痙攣の要因として, 筋疲労や脱水などが挙げられているが, その発現メカニズムの詳細は明らかでない.そこで本研究では, 筋痙攣の生じやすさを調べる「筋痙攣テスト」を考案し, その妥当性について検証すると共に, それらを用いて, 筋痙攣に対する筋疲労および脱水の影響を明らかにする事を目的とした.20名に対して筋痙攣テストを行った結果, 普段, 筋痙攣が起こりやすい全員に筋痙攣が誘発され, 筋痙攣の経験がほとんど無い者には誘発されなかった.よって, 筋痙攣テストにより筋痙攣の起こりやすさをスクリーニングできると考えられる.100回の膝関節屈曲運動後に, 主働筋である運動肢のハムストリングスで筋痙攣は誘発されにくくなり, 運動肢の足底の筋群では筋痙攣が生じやすくなった.従って, 運動によって筋痙攣の誘発率は高まるが, 筋疲労がその要因である可能性は低いと考えられる.また, 体重の3%に相当する脱水によって, 足底の筋群で筋痙攣が生じやすくなった.脱水が筋痙攣の要因である可能性は高いと考えられるが, その詳細なメカニズムは今後の検討課題である.