著者
冨高 晶子 松永 佳世子 秋田 浩孝 鈴木 加余子 上田 宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.327-334, 2000
参考文献数
21
被引用文献数
3

ラテックスアレルギー(LA)と果物の交差反応はlatex fruit syndromeと呼ばれている.今回, 栗によるアナフィラキシー症状(AP)を発症したLAの4例を報告する.全例アトピー疾患を合併した看護婦で, LAが先行していた.症例により摂取した栗の加工法, 皮膚との接触の有無, 臨床経過が異なっていた.栗のプリックテストは全例陽性であったが, 血清中の特異IgE抗体(sIgE)は2例のみ陽性であった.sIgEが陰性の場合にもAPが出現する症例を経験したことから, sIgEが陰性であっても注意が必要であることが示唆された.経過を観察し得た2症例のうち, 頻回に抗原に暴露される症例は, sIgEは高くなり, 抗原刺激を減らし得た症例ではsIgEは低下した.また, ラテックスと栗の交差反応において主要抗原とされるheveinと患者血清とのELISAにおいて, 自験例4例は正常コントロール12例に比べ有意に高い値を示した.今後, LA患者はAPや接触蕁麻疹の報告がある果物の摂取は避ける必要があると考える.

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