- 著者
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佐藤 滋正
- 出版者
- 尾道大学
- 雑誌
- 尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.1, pp.47-72, 2004-06
本稿は、リカードウ『原理』第20章「価値と富、その示差的な特性」におけるセイ批判を、『原理』初・2版と第3版、リカードウとセイの「書簡」、セイの『経済学概論』第2、4、5版、およびスミス『国富論』、を素材として研究したものである。論旨を一言で述べるならば、リカードウは、セイの「効用」概念を媒介にした「価値」の「交換価値」への横滑り論を批判し、また、セイの富の絶対的増大論は評価しつつも、そこに前提されてしまっている「土地所有」への無自覚を批判した、ということになるだろう。(二)(三)では『原理』第3版の概観が。(四)では「書簡」を通して第3版の改訂に至る経緯がそれぞれ示され、また、(五)では『原理』初・2版と第3版の対比的吟味が、(六)では第3版出版後のリカードウとセイの「書簡」に見られる両者の理論的対立点の析出が、そして(七)ではリカードウ第20章の資本蓄積論的総括が、それぞれ試みられている。