著者
佐藤 滋正
出版者
The Japanease Society for the History of Economic Thought
雑誌
経済学史研究 (ISSN:18803164)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.62-71, 2013 (Released:2019-08-22)

Abstract: This paper is an outline of studies on the political economist David Ricardo in Japan after World War II. Japanese studies on Ricardo have followed the Japanese tradi-tional learning style of thoroughly reading the original texts, and recent research has broadened to include Ricardoʼs contemporaries. Additionally, and particularly since the foundation of the Ricardo Society in Japan in 2000, researchers have endeavored to send their information to other countries. In the first section of this paper, I survey the articles about Ricardo, and in the second section, I trace the historical progress of Japanese studies. I divide their approximately 70 years of Japanese research into three periods: the postwar period to the 1960s, the 1970s to the 1980s, and the 1990s to today. The final section contains perspectives on Japanese studies on Ricardo. JEL classification numbers: A 12, B 12, B 31.
著者
佐藤 滋正
出版者
名古屋市立大学
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.79-103, 2006-03-01
著者
佐藤 滋正
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.47-72, 2004-06

本稿は、リカードウ『原理』第20章「価値と富、その示差的な特性」におけるセイ批判を、『原理』初・2版と第3版、リカードウとセイの「書簡」、セイの『経済学概論』第2、4、5版、およびスミス『国富論』、を素材として研究したものである。論旨を一言で述べるならば、リカードウは、セイの「効用」概念を媒介にした「価値」の「交換価値」への横滑り論を批判し、また、セイの富の絶対的増大論は評価しつつも、そこに前提されてしまっている「土地所有」への無自覚を批判した、ということになるだろう。(二)(三)では『原理』第3版の概観が。(四)では「書簡」を通して第3版の改訂に至る経緯がそれぞれ示され、また、(五)では『原理』初・2版と第3版の対比的吟味が、(六)では第3版出版後のリカードウとセイの「書簡」に見られる両者の理論的対立点の析出が、そして(七)ではリカードウ第20章の資本蓄積論的総括が、それぞれ試みられている。
著者
佐藤 滋正
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.11-30, 2003-12

J.B.セイは、リカードウの『原理』においてスミスと並ぶ大きな位置づけを与えられている。本橋は、リカードウのセイヘの論及箇所の検討を通して、リカードウ理論の逆照射を試みたものである。(二)と(三)では「書簡」と『原理』におけるセイヘの言及が摘出・吟味され、主要論点が「価値論」と「資本蓄積論」に収斂することが確認される。(四)では、"富と価値の区別論"と"資本過剰否定論"として展開される上記二論点が、リカードウにおいては"社会的剰余"概念によって関連づけられた、という試論が展開される。(五)ではリカードウとトラワの「書簡」が検討され、「私的利益」を原理とするセイの「企業家」概念へのリカードウの高い評価が取り出される。「価値論」における異質性を含みつつも、リカードウのセイ評価は、スミスに対するリカードウ「資本蓄積論」の特異性を際立たせてくれると言えるだろう。