著者
西山 一郎
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.27-62, 2007-06

1888年度から2003年度における香川県の行財政の歴史は『香川県財政の百年の歩み』(2006年、香川県)(非売品)として出版した。しかし、市町村の行財政の歩みは課題として残された。そのような課題のうち、資料が少なく、しかも散逸の可能性が高い戦前の香川県下の市町村の行財政の歩みは早急にまとめる必要がある。そこで、先年、その手始めに「1880年代の香川県における町村財政の実態」と題した小稿(『尾道大学経済情報論集』第4巻第1号、2004年6月)を発表して第3次の香川県が成立する以前の明治10年代における町村財政について概観した。小稿は、その後の時代、特に明治期おける市町村の行財政を取り上げる。(1)においては明治期の県下の市町村の行財政を教育費まで概観し、続編においては、(b)衛生費、(2)歳入、(3)税収入、そして、富田村と松尾村の未刊行の資料を使って両村の明治期の行財政を解明する予定である。
著者
下野 由貴
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.251-266, 2008-06

日本には、全国各地にさまざまなご当地ラーメンが存在しているが、尾道ラーメンもそのひとつであり、観光産業の核としての期待も大きい。本研究は、尾道ラーメンが全国的なブランドへと発展していった要因について考察することを目的としている。ラーメン産業の発展は、伝統の味を受け継ぐ老舗ラーメン店や、全国への広告・宣伝に貢献した土産物メーカーの存在に加えて、産業発展の基盤を形成し、全国的展開の契機をつくった製麺会社の役割によって、実現したといえる。製麺業に特化し、ノウハウの伝達などによるサポートによって、自らの顧客であるラーメン店を開業・育成していくという製麺会社の事業の仕組み(事業システム)は、今日の尾道におけるラーメン産業に多大な影響を与えている。
著者
溝淵 裕
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.85-100, 2006-06

本稿は、日本国憲法のいう日本国民が、日本民族という一定の感情を共有する人間集団を前提として構築されるのではなく、国家の統治権に服するゆえにその意思決定に参加するべき人々によって構築されていくべきものであることを主張するために善かれている。未来の日本国民は、未来の日本国民によって定義される人々なのである。
著者
田崎 三郎
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.85-111, 2005-12

ニューメディア・フィーバーで始まった情報化社会のその後の経過を、情報通信技術(ICT)の進展に関係付けて述べてゆく。ついで、現在政府やNHKが全力を挙げてその普及を図っている地上デジタル放送に関する政府見解と、これに対する民放労連(日本民間放送労働組合連合会)の反論、さらにこの反論に対してICT専門家としての立場から考察した我々の見解を述べる。また、デジタル放送でなければできないことも明らかにする。最後に、デジタル・デバイドやラスト・ワンマイル問題などを解消し、u-Japan政策を実りあるものとするための方策を検討し、それを基に情報通信行政の一元化を早急になすべきであることを提案している。
著者
荒井 貴史
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.21-36, 2005-07

規制改革・民間開放推進会議が求めていた「混合診療の全面解禁」は、「金持ち優遇」「国民皆保険制度が壊れる」などの反対によって実現せずに、特定療貸費制度の拡充といった形にまとまった。本稿では、「混合診療」問題とは何かを説明した後、最近の「混合診療」問題に関する議論を整理し、さらに「混合診療」問題を経済学の視点から考察する。最後に、規制改革・民間開放推進会議が求める「混合診療」の全面解禁の是非と公的医療保険給付における今後の課題を述べる。

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著者
磯田 尚男(皓)
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学芸術文化学部紀要 (ISSN:13471910)
巻号頁・発行日
vol.1, 2001
著者
岡本 人志 桑田 万紀子 松若 郁子 槇原 清隆
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.133-144, 2005-12

企業行動のモラル化に関する取り組みのなかで、化学工業とそれに属する個々の企業のレスポンシブル・ケアが新聞等においても取り上げられるようになり、広く注目を集めるようになった。日本化学工業協会のなかに設けられた日本レスポンシブル・ケア協議会によって後押しされ、支援されて、この協会の会員である個々の企業のレスポンシブル・ケアが推進されている。経営学、特に企業倫理の研究にとって、レスポンシブル・ケアは、もっと取り上げられるべき、重要なテーマである。協議会および個々の企業が毎年発行しているレスポンシブル・ケア報告書は、貴重な資料であり、整理することなしに放置し、忘れ去られてしまうには惜しい内容をもっている。この研究ノートにおいて意図するところは、毎年発行されるフロー情報を、企業と社会との対話という側面に焦点を合わせながら、私たちにとってのストンク情報へと転換し、同一企業の継続的な比較検討および企業間の比較検討を行っていくための基礎とする点にある。
著者
岡本 人志
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.51-79, 2006-12

モラルに反する企業行動を防止するために、誰あるいはどこが貢献することができるか。具体的には、法令、業界のレベル、個別の企業レベル、さちに企業内の諸レベル等のうち、どのレベルに、どのような責任が割り当てられるか。モラルに反する問題が発生したとき、その解決のために、どのレベルが動員され、それぞれ、どのように機能することができるか。私は、これらに関する議論を体系的に整理しておくことが、企業行動のモラル化の意欲と努力を実効力あるものにするために必須であると考えている。この作業を、私は数年前から、ドイツにおける関連する領域の文献史を整理することを通じて試みている。本稿は、その成果の一部分である。緊急の問題解決に追われるなかで、企業行動のモラル化に関する文献史の整理は遅れが目立つ分野である。
著者
山口 三十四 堀内 久太郎 加賀爪 優 福井 清一 鈴木 宣弘 松田 敏信 藤本 高志 衣笠 智子
出版者
尾道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本科研の研究では人口減少下の農業と食料についての研究成果を行っている。具体的には、「世界のWTO・FTAの潮流」と「農業の新たな構図」の展望、FTA交渉から見えてくるASEANとの「東アジア経済統合」への道、人口減少を含む「人口変化が産業構造に与える影響」、文明転換期にある「人口減少と食料や農業のあるべき姿」、「豪州の食料貿易政策」、「中国農業の全要素生産性」等の計測、地域間の「収束性」の分析、「中国や台湾の人的資本とその経済や社会への影響」、「飼料自給・糞尿循環利用・水田保全」に及ぼす影響、「食料消費の理論的実証的研究」等を行っている。この3年間で、8人の論文が74本、著書が12冊、学会発表は52回にも至っている。
著者
佐藤 滋正
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.47-72, 2004-06

本稿は、リカードウ『原理』第20章「価値と富、その示差的な特性」におけるセイ批判を、『原理』初・2版と第3版、リカードウとセイの「書簡」、セイの『経済学概論』第2、4、5版、およびスミス『国富論』、を素材として研究したものである。論旨を一言で述べるならば、リカードウは、セイの「効用」概念を媒介にした「価値」の「交換価値」への横滑り論を批判し、また、セイの富の絶対的増大論は評価しつつも、そこに前提されてしまっている「土地所有」への無自覚を批判した、ということになるだろう。(二)(三)では『原理』第3版の概観が。(四)では「書簡」を通して第3版の改訂に至る経緯がそれぞれ示され、また、(五)では『原理』初・2版と第3版の対比的吟味が、(六)では第3版出版後のリカードウとセイの「書簡」に見られる両者の理論的対立点の析出が、そして(七)ではリカードウ第20章の資本蓄積論的総括が、それぞれ試みられている。
著者
山口 三十四 貴戸 崇能
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.81-104, 2008-06

これまでの東京重視、地方軽視の政策により、地方の疲弊が急進し、眼界集落がうなぎのぼりに増加している。その意味で、地域振興を担う地銀は非常に重要な役割を担っている。本稿ではこの点を考慮し、その計量的分析を行っている。すなわち、地方銀行の収益強化対策についての計量的研究が行われている。そして、歴史、モデル作成、二段階最小二乗法、推定、政策的インプリケーションとして論文を構成している。周知のように、地方銀行は地域密着型経営の推進に欠かせない存在である。しかし、自己資本比率と中小企業への積極的な貸出とはトレードオフ関係にあり、地方銀行は中小企業への積極的な貸出と自己資本比率の維持を両立しなければならないという困難がある。そのため、次の3つの提案、高い付加価値を持った金融サービスの提供に力を入れ、低付加価値事業の効率化を行い、強力なリスク管理を行うという3方向で、収益力向上を図らねばならないことがわかった。
著者
平松 携
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.105-121, 2008-06

歩行による健康づくりの基礎資料を得るため、男性を対象に1988年(44歳)から2007年(63歳)まで20年間の万歩計で測定した結果は、次のようになった。1.20年間の歩行数は、93,553,052歩であった。1年間平均歩行数4,577,652歩で、1年間で最も歩行数が多かった年は5,920,020歩(1992年)であった。最も歩行数が少なかった年は3,434,702歩(1995年)であった。1ヶ月で歩行数の多かった月は、四国遍路をした1992年3月の1,209,190歩になった。1日平均歩行数をみると、1992年の16,175歩、1993年の15,246歩で多かった。また、20年間の1日の平均歩行数は12,993歩であった。季節の歩行数をみると、春期、秋季、冬季、夏季の順に多かった。2.登山の歩行数をみると、2000m以上の登山は、八ヶ岳縦走(2泊3日)が97,615歩で多かった。1000m以上の登山は、石鎚山縦走(2泊3日)が84,941歩で多かった。里山は、六甲山縦走が46,080歩で多かった。3.トレッキングの歩行数をみると、ネパールのエベレスト街道の1日当たりの平均歩行数は14,443歩であった。一方、チベットのエベレスト(チョモランマ)BCの1日当たりの平均歩行数は、ラウンドクルーザでの移動のため、3,810歩に過ぎなかった。このように、20年間で健康づくりの目標である1日に1万歩の歩行数は確保している結果を得た。
著者
川田 一義
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.91-105, 2004-12-31

この小論は、平成16年5月27日に、尾道市内のテアトロシェルネ(しまなみ交流館)の大会議室にて開催された、『2004年度尾道大学公開講座』(瀬戸内しまなみ大学共催)での講演(演題:「税金の話」)の原稿をその後、補正・加筆の上、再編成したものである。市民の皆さんに税というものを身近に感じてもらうと共に、興味を抱いてもらうように税の対象となる課税標準についてやさしく論述した。
著者
川田 一義
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.63-83, 2005-12

青色申告とは、一定の帳簿書類を備え付け、それに基づいて正確な所得を計算し申告する納税者に対して、税制上の特典を認める制度である。この特典を受けようとする場合には、税務署長より確定申告を青色の特別な申告書で提出することの承認を受けなければならない。青色申告の普及・育成を通じて、正しい申告り内税と企業経営の合理化を図ることを目的として、個人事業主によって組織されている団体が青色申告会(Blue Return Association)である。現在、全国で3000会以上、会員は100万人を超えている。ここでは、尾道の青色申告会の変遷を例に取りながら、青色申告制度の創設、推移、及び、今後のあり方等を考える。