著者
福士 秀人
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-17, 2003-03
被引用文献数
1

ヘラジカおよび鳥類を感染源とするクラミジア症の集団発生が2001年に2件報告された。これまでのオウム病の報告例は家族内発生および孤発例を含め,個人の飼育鳥ないし野鳥が原因であり,動物の飼育施設における罹患報告はほとんどなかった。動物園などで感染したオウム病の例は国内では,姫路のサファリパークを感染源とする患者が一名,1996年に報告されている。2001年の11月から12月にかけて鳥類展示施設を感染源とするオウム病の集団発生があった。来園者12名,従業員5名が発病した。この事例は動物飼育施設での感染としては国内2例目,集団発生として1例目である。動物園のヘラジカの出産に関連して出産に立ち会った5名に不明熱が発生した。当初はブルセラはじめ種々の病原体が疑われたが,抗体検索からクラミジア抗体の上昇が見いだされ,最終的にヘラジカからクラミジアが分離された。分離されたクラミジアは鳥類のクラミジアとほぼ同一であった。これはほ乳類から人に鳥類クラミジアが伝播し発生した事例であると考えられた。

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