著者
野牛 一弘 梁川 良 松浦 善治 福士 秀人 喜田 宏 野田 寛
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.691-693, 1982-08-25

北海道で1978-1980年に1278頭のミンクについて各種A型インフルエンザウイルスに対する抗体調査を行なった. 1980年の11月および12月に, それぞれ175例中35例(18%)および110例中44例 (40%) に A/Hokkaido/45/80 (H3N2) に対する抗体が検出され, 抗体陽性ミンク中48例 (64%) が 1:512 以上のHI抗体価を示した. 野外のミンクにおいてインフルエンザの流行が血清学的に明らかにされたのは今回が初めてと考えられる.
著者
松田 紫恵 大屋 賢司 柳井 徳磨 柵木 利昭 福士 秀人
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.143-147, 2009-02-20 (Released:2016-09-03)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

臨床症状よりオカメインコの開口不全症候群と診断された1~2カ月齢のオカメインコの死亡例5例,口腔スワブ4検体を微生物学的,病理学的に検索した. 複数種の細菌が分離され,最も高率にBordetella avium (5/9例)が分離された. 分離されたB.aviumの全菌株は,Bordetella属菌が産生し病原性発現に関与する皮膚壊死毒素遺伝子を保有していた. 組織学的検索では,咬筋をはじめとする嘴の開閉運動筋の筋線維は変性・壊死,消失,筋線維間には炎症細胞が浸潤,細菌塊が認められた. 病変の進行した領域では線維芽細胞の増殖が著しく,高度に器質化していた. 分離B. aviumの薬剤感受性試験を実施した結果,β-ラクタム系,アミノグリコシド系およびテトラサイクリン系薬剤に高い感受性を示した.
著者
福士 秀人 小川 晴子 森腰 俊亨 奥田 恭之 島倉 省吾 平井 克哉
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
no.50, pp.p259-263, 1985-12
被引用文献数
2

クラミジア補体結合抗体の保有状況を愛知および岐阜両県のウシ1,048頭,ブタ544頭,ならびに茨城県,岐阜県および東京都のウマ1,103頭について調査した。ウシの平均抗体保有率は30.2%で地域差が認められた。ウマでは茨城および岐阜両県で2.8%および1.0%にそれぞれ抗体が認められた。ブタでは主に種雄豚で0.7%が抗体陽性であった。このように,わが国の家畜にクラミジア感染症が存在することが示唆された。
著者
Syakalima Michelo CHOONGO Kennedy 中里 幸和 小沼 操 杉本 千尋 坪田 敏男 福士 秀人 吉田 光敏 板垣 匡 安田 準
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.315-318, 2001-03-25
被引用文献数
9

ザンビア国カフエ川湿原で, 銅鉱山排液が混入するロッキンバー及びブルーラグーン国立公園に生息する野生生物, 重金属被爆がもたらす環境危険因子について食物連鎖解析を行った.ここでみられる食物連鎖因子は, 水, 魚, 植物(草).カフエレチュエ(Kobus Leche Kafuensis)であり, 重金属は, 銅, 亜鉛, マンガン, 鉄である.銅は水:0.03-0.04, 魚3.0-6.0, 草11.0-44.0, レチュエ肝臓:痕跡-199.0であった.亜鉛は水:0.01, 魚32.0-82.0, 草:15.0-21.0.レチュエ肝臓:52.0-138.0であった.マンガンは水:0.15-0.16, 魚:7.0-18.0, 草:51.0-1450, レチュエ肝臓:40.0-53.0であった.鉄は水:0.13-0.14, 魚:26.0-134.0, 草:1766.0-1797.0, レチュエ肝臓:131.0-856.0であった.濃度単位は水がmg/l, その他の試料はmg/kgである.水以外の全ての因子で重金属濃度が高かったが, 毒性は裏づけられなかった.
著者
岩田 吉弘 福士 秀人 鈴木 義孝 平井 克哉
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.201-205, 1987-01-10

某輸入愛玩鳥卸売業者において,流涙,結膜の浮腫と充血,眼瞼腫張,角膜の混濁と潰瘍などの症状を示すオウム・インコ類の疾病が観察された。アオボウシインコ11羽中9例ならびにオカメインコ5羽およびボタンインコ4羽の全例からボックスウイルスが分離された。また,これらの症例からグラム陽性菌がほぼ純粋に検出され,混合感染によって病性が悪化すると考えられた。
著者
大屋 賢司 福士 秀人 奥田 秀子 原崎 多代
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

主要な人獣共通感染症の原因となるChlamydia psittaciの、細胞内増殖性と多様な宿主域に関して、Pmpの多様性を通じて明らかにすることを目的とし以下の成果を得た。1)Pmpファミリーの比較ゲノミクス:クラミジア種間だけでなく、株間でも、pmpの多様性が確認された。2)Pmpファミリー発現プロファイル解析:恒常的に発現しているPmpファミリー分子の他、PmpG11のように感染中期以降に発現するファミリー分子が明らかとなった。3) C. psittaci特異的なPmpの機能解析:PmpG11について、病態形成にへの関与は不明であったものの、診断用抗原としての有用性を明らかにした。
著者
島倉 省吾 葛谷 光隆 鎌数 眞美恵 吉田 徹也 奥田 恭之 津久美 清 福士 秀人 平井 克哉
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.209-216, 1984-12-15

家禽及び野鳥の大腸菌による感染症については多くの報告がある。しかし,愛玩鳥における報告は少ない。著者らは,1982年4月から1983年12月までの間に愛知県内の某卸売業者へ輸入され,輸入後3週間以内に斃死した愛玩鳥911羽を検査した。これらの愛玩鳥は,ヨーロッパ及び北米以外の世界各国から輸入され,特にアジア及びオセアニアからのものが大半を占めていた。大腸菌は,検査した911羽中345羽(38%)の肝臓,肺臓及び肺から純粋に分離された。分離大腸菌191株についてOK血清型別をした。病原大腸菌OK血清では,01:K51に3株,025:K1に4株,0119:K69に2株,0125:K70に7株及び0148:K[○!+]に1株,計17株が,アルカレッセンス・ジスパーOK血清では,01:K1に1株,02:K1に17株及び04:K3に3株,計21株,合計38株(20%)が血清型別された。腸炎毒産生性は,LTを139株及びSTを61株について調べた両画毒素共にその産生性が確認された菌株はなかった。191株について薬剤感受性を調べたが,155株(81%)が耐性で,この155株のうちTC耐性をもつ菌が153株あった。なお,単剤耐性菌は84株,多剤耐性菌は71株で,単剤耐性菌の検出数が多かった。愛玩鳥由来大腸菌の血清型別及び毒素原性について調べた報告は極めて少ない。これらの愛玩鳥は捕獲後,人の生活環境で感染し捕獲,輸送などのストレスが発症,斃死の誘因となったものと考えられた。従来わが国では報告されていない血液型の病原大腸菌が検出され,公衆衛生及び家畜衛生の両面から深く憂慮されるから,今後愛玩鳥の衛生管理に格段の留意を要する。
著者
福士 秀人
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-17, 2003-03
被引用文献数
1

ヘラジカおよび鳥類を感染源とするクラミジア症の集団発生が2001年に2件報告された。これまでのオウム病の報告例は家族内発生および孤発例を含め,個人の飼育鳥ないし野鳥が原因であり,動物の飼育施設における罹患報告はほとんどなかった。動物園などで感染したオウム病の例は国内では,姫路のサファリパークを感染源とする患者が一名,1996年に報告されている。2001年の11月から12月にかけて鳥類展示施設を感染源とするオウム病の集団発生があった。来園者12名,従業員5名が発病した。この事例は動物飼育施設での感染としては国内2例目,集団発生として1例目である。動物園のヘラジカの出産に関連して出産に立ち会った5名に不明熱が発生した。当初はブルセラはじめ種々の病原体が疑われたが,抗体検索からクラミジア抗体の上昇が見いだされ,最終的にヘラジカからクラミジアが分離された。分離されたクラミジアは鳥類のクラミジアとほぼ同一であった。これはほ乳類から人に鳥類クラミジアが伝播し発生した事例であると考えられた。