著者
棚部 一成
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1975, no.99, pp.109-132_1, 1975

北海道中軸北部達布地域のチューロニアン(Inoceramus hobetsensis帯)から連続的に採集された16サンプルに, 南樺太内淵地域および北海道中部の大夕張地域産の8サンプルを加えた計24サンプル, 約150個体のOtoscaphites puerculusについて正中断面, 横断面での詳細な形態解析を行なうとともに, 保存のよい数個体について実際に体積を測定し, 近似的に殻の浮力を算出した。その結果, 殻口に顕著なラペットのある成年殻のフラグモコーンの直径および5.5π以降の全回転角に対するら環の半径のアロメトリーの成長比は, 時間的に増加するが, 逆に正常巻きに補正した住房の長さは1.6πから1.2πに減少することがわかった。また半径に対する隔壁および腹壁の厚さのアロメトリーの成長比についても時間的に浮力の増大したことを示す。浮力計算の結果, 下位層準の標本ではフラグモコーンに水が入らない状態でも, 全体の比重は水より大きくなるが, 上位層準の標本ではフラグモコーンに約30~47%水を入れた状態で殻の比重は水と等しくなる。これらの事実から本種は上述の形態変化に伴って成年時の生活様式を底生から浮遊ないし遊泳性に変えたものと思われる。また下位層準のサンプルでは, ら環のほどける約1π前(約7.5π)付近から腹壁および隔壁の厚さが急に厚くなるから, 個体発生中に生活様式を遊泳・浮遊性から底生に変えたことが推定される。

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https://t.co/4URoYErgBY 白亜紀後期アンモナイトの殻、浮力に関する論文の記述から、浮いたもの、浮かないもの、色々いた。ロボ化石としては、殻を中性浮力付近で作り、気坊にあたる部分の浮力体の増減と、重心部への重りの増減により、アンモナイト種に合わせ比重を変更できる機構を備えたい。

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