著者
鈴木 則久 小方 一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.1345-1353, 1985-11-15

高機能ワークステーションは人工知能, プログラム作製, CADなどに使われる. 最近の一つの傾向として全システムが単一言語で記述してある. LISPマシン, Smalltalkマシン, Prologマシンなどがこれである. このように全システムを単一言語で記述すると開かれたシステムとなり, ユーザが簡単にカスタム化できるCADシステムなどが可能となる. しかし, このように全システムを単一言語で記述するためには言語がオペレーティング・システムを記述する機能を持っていなければならない. コルーチン, プロセスとか, 実行環境をデータとして扱ってデバッガを作る機能である. これらを言語に取り入れる手段として実行環境を複雑に扱わざるをえない. InterLispではスパゲッティ・スタック, LispMachineLispではスタック・グループを導入した. 一方Smalltalk-80では実行環境をオブジェクトとして扱っている. これは強力であるが実行速度には問題があった. 筆者たちは, 高速実行のときは線型スタックに実行環境を作り, 複雑な制御をするときはヒープに実行環境をとる, 多態実行環境というデータ構造を考案し, Smalltalk-80の高度柔軟性を保ちながら, 高速に実行できるシステム「菊32V」を開発した. これは現在, 32ビットのインタプリタとしては世最高速である.

言及状況

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@ttmtko @t_sakuma390 仮に98でSmalltalk-80(not V)が動いていたとすると菊32Vが実装されていた可能性があります。 http://t.co/XO6DSh8

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