著者
伊藤 昭 矢野 博之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.944-952, 1997-05-15
参考文献数
13
被引用文献数
2

自己の利益をのみ追求するエージェントの社会では, どのようにして協調が発現するのであろうか. 我々は, 過去の対戦履歴が公開されるという条件の下で, エージェントが囚人のジレンマと同型の対戦を, 相手を次々と替えながら行わねばならないとき, どのような対戦戦略を採用すればよいのかを調べてきた. 今回は, どのようにして協調的戦略が社会的に発現 (進化) するのか, またそのための条件は何かなどを, 遺伝的アルゴリズムの手法を用いて調べる. 我々は, まず対戦戦略アルゴリズムを抽象計算器の上で定義する. 次に, エージェントは対戦利益に応じて子を生成できるものとし, また子エージェント生成に際しては, 戦略アルゴリズムに突然変異を導入してその進化を促す. その結果, 最初単純なしっぺ返し戦略TFTから出発して, 系は非協調的戦略を含む様々な戦略を持つエージェントを生成するが, 生存競争の中でより強い協調的な戦略が成長してくることを示す.

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