著者
白井 諭 池原 悟 河岡 司 中村 行宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.12-21, 1995-01-15
被引用文献数
14

最近、言語間の発想法の違いを克服し、機械翻訳の品質を向上させるための方法として、多段翻訳方式や用例翻訳方式が提案され、その効果が期待されている。また、現在、翻訳困難な表現や構文は、人手による原文前編集の対象となっているが、これらの多くは、言語間の発想の違いを反映したものであることを考えれば、前編集も言語間の発想の違いを克服する方法の一つであり、その自動化による訳文晶質の向上が期待される。しかし、自然言語の表現には、同形式異内容の間題があり、副作用の生じないよう、前編集の内容をそのまま自動化することは困難であった。これに対して、本論文では、(1)単語の精密な文法的属性と意味的属性を使用すれば、原文に対する自動書き替え規則の適用条件が詳細に記述できると予想されること、(2)原文解析によって文溝成要素の文法的、意味的性質が明らかになった段階で書き替えを適用すれば、書き替えによる予想外の副作用を排除できると期待されること、の2点に着目して、原文自動書き替え型の翻訳方式を提案する。新聞記事を使用した翻訳実験によれぱ、自動書き替え規則の適用された箇所は102文中、44文、延べ52箇所であり、そのうち訳文品質が明らかに向上した文は33文であった。また、規則の適用された文の構文意味解析の多義の数が平均5.39/文から1.31/文まで減少した。これらの結果、本方式は翻訳品質向上ならびに多義減少の効果の大きいことが分かった。

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