著者
飯田 弘之 小谷 善行
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.1296-1305, 1992-11-15
被引用文献数
5

現在のゲーム木探索理論は 各局面ごとの可能な合法手の数が少ないオセロやチェスに大きな成果をもたらした.しかし その成果をそのまま将棋や囲碁で用いて 良質な評価を得るまで先読みすると組み合わせ爆発が生じる.ここでは こうした合法手数が多いゲームにも適用可能なゲーム木探索の方式を提起する。まず本方式を考案するにあたって 将棋を題材として プロ棋士らの専門家の思考法を収録した.それを分析した結果 特徴的に現れる現象から 「先読み中の探索空間の共有」という考えを導いた、これは別の局面で発見した手(手段)を現在局面などで活用すること等'人間的な思考の動きを反映したものであるさらに この考えを利用した前向き枝刈りによるゲーム木探索法を提案した.本手法は 一度先読みして得た「別」の局面において発見した良手を 先読み手候補として選択する方式である・本手法と 従来の前向き枝刈り法を専門家の評価および実際の対戦において比較した.その結果 本方法のほうが従来のものより良いことが確認され 意味深い好手など 高品質の手が実際に生成され 強さに寄与することがわかった。また チェスなどで一般に行われる(合法手をすべて読む)全幅探索に対して共有の考えを導入する方法を示た.

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