著者
大沢 晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.42-55, 1990-01-15
被引用文献数
2

計卵誤差により図形演算プログラムが暴走する問題は 従来から図形処理における大きな未解決課題とされていた.これに対し 従来普通には「非常に接近した図形要素は同一点を占めている」とみなす対策が行われていた.しかしこれはある場合にはかえって暴走の原因となり 対策として不完全であった.本論文ではスペースモデルにより図形のトポロジーを表現し 「どんなに接近した図形要素も たとえ両者の座標値が等しくなっても トポロジカには同一点とは考えない」手法を採り トポロジーに矛盾が起きないようにデータ構造を生成する 新しい対策法と実験結果につき述べる.座標値よりトポロジーを優先したこと 図形の正しさは追及せず トポロジーが矛盾しないことを条件としたこと スペースモデルを使うことで起こり得る形状の種類が限定でき すべての場合の列挙が可能になったこと などが本方式のキーポイントである.スペースモデルによれば 二次元・三次元 注目 局所集合演算 運動図形の衝突検出 等 多彩な機能が平均的にO(1)の対話速度で実現できるが 本方式により本質的に高信頼度が得られ 実用化の基礎を固めることができたと考えられる.

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