- 著者
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北 研二
川端 豪
斎藤 博昭
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.3, pp.472-480, 1990-03-15
- 被引用文献数
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高精度の連続音声認識システムを構築するためには 言語情報の利用が不可欠であり これまでにも 統計的言語モデル 正規文法 文脈自由文法等を用いて音声認識システムの認識率を向上させる方法が提案されている.本論文では これらとは異なる新しい方法HMM-LR法を提案する.HMM-LR法は 拡張LR構文解析法で用いられる構文解析動作表から入力音声データ中の音韻を予測し 予測された音韻の尤度をHMM音韻照合で調べることにより 音声認識と言語処理を同時進行させる.この方式では 音声認識と言語処理の間に音韻ラティス等の中間的なデータを介する必要がなく 高精度のかつ効率的な認識処理系を構成することができる.また HMM-LR法に基づく日本語の文節認識システムを作成し 評価を行った.評価には 日本語の一般的な文節構造を扱うことのできる一般的文法(語彙数約1 000語)と認識対象となるタスクに現れる現象のみを扱うタスク向き文法(語彙数約270語)の2種類の文法を用いた.一般的文法に対する第1位での正答率は72.0% 第5位までで95.3%の正答率を達成した.タスク向き文法に対しては それぞれ79.9% 98.6%の正答率を達成した.