著者
関口 博之 英保 茂
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.2827-2837, 1999-06-15
被引用文献数
8

鍵盤楽器の演奏は手と指のダイナミックな動きによって実現される. 手指の動作速度には物理的な限界があるとともに その動作可能範囲と方向は手指の腱 筋肉 骨格構造の制約を受ける. したがって 鍵盤楽器の演奏においては 手指への負担や動作の無駄を抑えた 合理的な手指の動作が求められる. しかし打鍵指の選択や手指動作に対する自由度はきわめて大きく 手本なしに理想的な演奏動作を習得することは難しい. 本研究の目的の1つはこの「理想的」な演奏動作を 直感的に理解可能な3次元動画等を用いて提示することである. ここでは理想的演奏動作を 1. 譜面に忠実な演奏結果が得られること 2. 手指への負担を抑えた動作であること 3. 手指の運動量 (変位・速度・加速度) が最小化されていること の3点をともに高いレベルで満足する動作ととらえ 本稿ではこの演奏動作を生成するアルゴリズムについて述べる. 本研究のもう1つの目的は「人間的」な演奏を計算機上で実現することである. 従来の計算機による演奏は 1音1音を正確に発音する一方 音楽的表現に欠けたものになりがちであった. これは単にテンポや音量に 乱数的な変動を加えるだけでは解決できない. これに対し 提案手法では手指の動作を介して演奏結果を得ているため 人の手指の動作特性を仮想空間内の手オブジェクトに反映させることにより「人が弾いている」ような効果が容易に得られる. これをさらに発展させれば ニュアンス表現をともなった自動演奏も実現可能になると考えられる.The piano performance is realized by the dynamic hand and finger movements, which are constrained due to tihe anatomical components, such as tendons and skeletons. We have developed an algorithm that generates a kind of the optimal movements of hands and fingers at the piano performance. The optimal movements are obtainable by 1) finding the most appropriate finger assignments, 2) finding the smallest hand movement to play, and 3) calculating the finger position and bend angles to attack the key. The appropriate hand and finger movements in piano performance, obtained and shown in understandable 3D animations, will be quite useful for students in piano lesson. Another aim of this research is to realize a humane performance by computer. In this system, the sound is generated as a result of the interaction of fingers and a keyboard in the virtual space. So it is easy to modify the character of performance by changing the physical characteristics of the hand and fingers. This special feature will be useful to prodube mofe realistic (humane) sounds of music than that of the computer music of today.

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こんな論文どうですか? 計算機によるピアノ演奏動作の生成と表示 (<特集>新しいシステムソフトウェア)(関口 博之ほか),1999 http://t.co/QXFcKjodiD

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