著者
松山 隆司 長尾 真
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.p468-480, 1980-05-15
被引用文献数
10

近年,国土の高度利用を計るためのデータを得る手段として,計算機による航空写真の解析が重要視されるようになって来た.本論文では,領域の持つ各種のスペクトル的,空間的特徴に基づいて画像を構造的に解析し,航空写真中の対象物を自動的に認識するシステムについて述べる.航空写真のような大きな画像のあらゆる部分について複雑な処理を行うと膨大な時間がかかるため,本システムでは,「大局的分類から詳細な解析へ」という考え方を導入し,処理の効率化を計っている.これは人間における注意の集中(focs of attention)にあたるもので,複雑で時間のかかる処理は特定の局所領域内のみに対して行われるので,処理時間が大幅に短縮される.システムの制御構造は,"プロダクションシステム"の考え方に基づいて作られており,多種多様な対象物に関する知識は,互いに独立江多数の対象物認識ルーチンに分散して蓄えられている.各対象物認識ルーチンは,対象物が存在するであろうと考えられる局所領域に注目し,独自の知識を用いて特定の対象物を認識するこれらのルーチンによる解析結果はすべて共通の"ブラックボード"に書き込まれ,システムはプラックボード中の情報の矛盾を検出し,誤りの訂正を行い,統一のとれた解析結果を出力する.

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