著者
大谷 正幸
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.95-118, 2004-06-30

「角行系宗教」とは、角行藤仏という富士山を信仰するユニークな行者を始祖とする宗教を包括して指す、筆者の造語である。この中に富士講という団体が含まれるが、彼らが栄えて地域に土着していく過程で、角行系宗教全体の起源と考えられる、ある名前のない宗教の存在が埋没してしまった。ここ数十年で発掘されてきた資料を元に、できるだけ富士講による伝統的な説を排除していくと、おぼろげながら彼らの姿が浮かび上がってくる。角行系宗教は全体を大きく五つに分けることができる。その始原は十七世紀初頭にまで遡るが、民間から発生した独特の教義を持ち、しかも伝統的な宗教には一切属さない。彼らは従来伝統的な山岳信仰と考えられてきたが、厳然たる創唱宗教にして富士信仰の伝統的な立場とは明らかに一線を画す。そのことが日本宗教史上でいわれる所謂「新宗教」の概念とどのように関わるのか問いかけたいと思う。

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今日は久しぶりに、丸善丸の内本店へ。 近頃、ネットで電子書籍を漁ることが多いのですが、 やはり本屋はいいですね。 で、いくつか気になる本があったのですが、 その中の一つが、これ。 『角行系富士信仰-独創と盛衰の宗教』 http://www.amazon.co.jp/dp/4872946847/ 著者の大谷正幸氏の経歴を見てビックリ。 まだ40歳そこそこの若さでした。 まずは、論文から読んでみ ...

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CiNii 論文 -  富士信仰から角行系宗教へ : 彼らは「新宗教」か否か http://t.co/RxwWYntsBM #CiNii

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