著者
馬場 紀寿
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.49-71, 2005

『清浄道論』は紀元後五世紀前半に活躍したブッダゴーサにより著された。先行研究によれば、ブッダゴーサは、『清浄道論』を著すに際して、ウパティッサ作『解脱道論』を参考にしたとされる。しかし、これまで顧みられなかったブッダゴーサの編集方法を調査することによって、次のことが明らかになる。ブッダゴーサは単に『解脱道論』を踏襲しただけではなく、『解脱道論』には存在しない「三種の完全知」という概念を『清浄道論』に導入し、「三種の完全知」の構造に沿って『解脱道論』を取捨・改変・増広して『清浄道論』の「智慧修習論」を編纂した。その結果、「四諦」観察を重視する『解脱道論』に対し、『清浄道論』は「無常・苦・無我」や「空」の観察を中心とすることとなった。ブッダゴーサの編集作業によって確立した「三種の完全知」がスリランカや東南アジアに広まる「テーラヴァーダ仏教」の正統的な修行方法を代表し、その思想的特質を端的に示すものとなったのである。

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馬場先生『上座仏教の思想形成』核心部分はこちらを読めばいいんじゃないでしょうか? 『清浄道論』における「智慧の修習」の成立 : ブッダゴーサの編集作業と「智慧の修習」の構造 宗教研究 79(1), 49-71, 2005 https://t.co/ZXpWvO61CW https://t.co/Qqczf6fdMQ

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