- 著者
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図子 光太郎
生原 喜久雄
相場 芳憲
- 出版者
- 一般社団法人日本森林学会
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.74, no.3, pp.185-193, 1992-05-01
- 被引用文献数
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森林の土壌溶液の溶存イオンの組成および動態を明らかにするため, スギ幼齢林にNH_4Clを施用した。調査地は群馬県の渡良瀬川上流に位置する東京農工大学演習林の24年生スギ林分である。母材は秩父古生層の砂岩および粘板岩で, 表層土壌のpH(H_20)は4.5前後である。ポーラスカップをとりつけた簡易採水器を用いて土壌水を採取した。採水した土壌の深さは10,20,30,50cmである。施用されたNH_4+-Nは硝化を受け短期間にN0^-_3-Nに変化し, 結果的にCl^-とともにN0^-_3-Nの2種のイオンが付加された。土壌交換基からの溶液への陽イオンの溶出に影響するのは特定の陰イオンではなく, 土壌溶液の主要な陰イオンの和であった。主要な陰イオン濃度の和の増加にともなって増加が著しいのはCa^<2+>で, ついでAl^<3+>, Mg^<2+>, K^+, H^+の順であった。土壌溶液のH^+とAl^<3+>濃度との間には指数関数的な関係がみられ, 土壌溶液のH^+濃度が0.1mel^<-1>以上, pHで4以下になると, Al^<3+>濃度の増加が著しい。pHの低い土壌での陰イオン合計の増加するような施業は地力維持のため十分注意する必要がある。