- 著者
-
藤田 恵美
中田 誠
- 出版者
- 日本林學會
- 雑誌
- 日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.2, pp.84-92, 2001-05-16
- 参考文献数
- 43
- 被引用文献数
-
3
新潟県下越地方において、海岸砂丘地のクロマツ林への広葉樹の混交が林床植生と土壌特性に及ぼす影響について研究を行った。亜高木層に落葉広葉樹が混交した林分では、クロマツのみから構成される林分に比べて低木層の被度がやや低いが、高木・亜高木性の常緑広葉樹の稚幼樹が多く出現した。草本層ではイネ科植物が優占し、クロマツ林では砂地や草原を好む種の被度が高いのに対して、混交林では被度がやや低いが木陰や林内に生育する種の比率が高かった。これらはクロマツ林への広葉樹の混交による林内の光環境と土壌特性の変化が原因と考えられた。土壌はいずれもA0-A-C層からなる砂質未熟土だった。混交林ではクロマツ林に比べてA0層のCa、Mgの含有率が高く、塩基飽和度とpHが上昇していた。また、混交林では表層土壌(0~10cm)へのCa、Mg、Nなどの養分の蓄積が進行していた。海岸砂丘地のクロマツ林における落葉広葉樹との混交林化とそれに続く常緑広葉樹の侵入は、海岸防災林の保全や機能強化にとって重要な役割を担うと考えられる。