著者
徃住 彰文
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1235-1236, 1986-10-01

会話場面における"適格な応答"を規定している要因はどのようなものであろうか。ある聞き手が他の話し手によって発話された文を受理し、その文に対する適切な応答を産出する機構を考えるときこの問題は重要である。まず関与する要因の一つとして話題内容の一貫性あげることができる。これについては近年、ゴール-プラン構造といった、対話に内在する構造を使って発話のゴール指向性を確保しようというアプローチがみられる。しかしながら、そうした世界知識や対人的交渉戦術の問題などに展開されるようなゴール指向性とは独立に、言語上の行為としてのゴール指向性が発話の適格性(well-formed-ness)に関与している部分もみのがすわけにはいかない。ある発話が、後続する発話に対し、発話列としての適格性を維持するためにどのような拘束をどのような標識で与えているのかという問題である。パーザの観点からすると、この問題は、人力文のどの要素、もしくはどの構造から発話列の適格性を維持するためのどのような拘束を引き出すことができるか、またそのためにはどのような機構および媒介概念が必要かという問題に言い替えることができる。ここではゲーム理論的意味論に基づいて、平叙文を疑問文からなる発話を対象として分析を試み、またそのボトム・アップ・パーザ上での実現を試みた。

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どこかでじっくり学ばなければならないという気が直感的にしている http://t.co/JP9r7wx2ii

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