著者
近藤 哲也 高橋 朋身 下村 孝
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.28-35, 2000-08-31
参考文献数
20
被引用文献数
5 10

海浜地域におけるハマヒルガオの景観形成素材としての利用および本種の保全を目的として, いくつかの休眠打破処理を試み, 硬実種子であることを確認した。そして硬実性解除のための適切な硫酸処理時間とその機作を明らかにした。ハマヒルガオの種子をシャーレに播種して恒温器内に置き, 発芽の過程を観察した。その結果ハマヒルガオの無処理種子は, 発芽時の温度や光条件そして採取場所, 採取時期, 貯蔵期間にかかわらず, 吸水して発芽できる種子は数%にとどまる硬実種子であった。しかし種皮への針による穿孔, 紙ヤスリによる傷付け, 濃硫酸への浸漬処理によって吸水し発芽が可能になった。それらの処理の中でも硫酸処理がもっとも効率的であった。濃硫酸処理の効果は, 種子採取の場所や時期によって異なったが, 60分から120分の浸漬処理で80%程度の発芽率を得ることができた。濃硫酸に浸漬すると, 初期にはへそ周辺部に, 浸漬時間が長くなると種皮にも亀裂や穴を生じた。この亀裂や穴から吸水し, 発芽が可能になったと考えられた。

言及状況

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