- 著者
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高根沢 紀子
- 出版者
- 上武大学
- 雑誌
- 上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, pp.82-77, 2002-12-30
加藤幸子は"独特のバランス感覚を持った作家"である。日本と中国、大人と子供、人間と自然という対立する二つの概念を、その独特なバランス感覚で共生させている。加藤の文学を決定づけているのは幼年期の中国体験である。太平洋戦争をはさんでの中国での体験は「夢の壁」(1982)から『長江』(2001)まで書きつがれている。またナチュラリストの肩書きを持つ加藤は、自然を考える作家でもある。<ヒト>を絶対の視点としないその文学は独自のものである。