- 著者
-
廣瀬 英晴
菊地 久二
吉橋 和江
安斎 碕
西山 實
- 出版者
- 一般社団法人 日本歯科理工学会
- 雑誌
- 歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.2, pp.213-218, 1991
- 被引用文献数
-
10
本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, 光増感触媒の組成と重合率との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, モノマーとして合成したシクロホスファゼン系のP<sub>4</sub>N<sub>4</sub>(CF<sub>3</sub>CH<sub>2</sub>O)<sub>1</sub>[CH<sub>2</sub>=C(CH<sub>3</sub>)COOCH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>O]<sub>7</sub>[4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>]と市販のTri-EDMAを採用し, これに, 光増感触媒の配合量を種々変化させて配合し調製した.光増感剤は, カンファーキノン(CQ)およびジベンゾイル(DB)を用い, 還元剤は, メタクリロキシエチル-p-ジメチルアミノベンゾエートを用いた.18種のレジンについて, フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いKBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および光照射後の所定時間に経時的に行った.残存二重結合量(RDB)は, 光照射前のレジン中の二重結合量に対する百分率で表示した.4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>の場合, RDBは, 光照射開始5分および1日後でそれぞれ56〜78%および47〜71%を示した.また, Tri-EDMAの場合, RDBは, 光照射開始5分および1日後でそれぞれ27〜63%および15〜47%を示した.RDBは, モノマーとして4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>を用いた場合, CQの配合量の増加にともない有意に減少し, 一方, Tri-EDMAを用いた場合はDBの配合量の増加にともない有意に減少した.