著者
廣瀬 英晴 菊地 久二 友清 直 高野 守 吉橋 和江 安斎 碕 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.477-482, 1991
被引用文献数
11

本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, 3種の2元系レジンのモノマー組成と重合率との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, モノマーとして合成したシクロホスファゼン系のP_4N_4(CF_3CH_2O)_2[CH_2=C(CH_3)COOCH_2CH_2O]_6, [4PN-(TF)_2-(EMA)_6]と市販のUDMA, Tri-EDMAおよびBMPEPPとを用い, 4PN-(TF)_2-(EMA)_6に市販メタクリレートモノマーを20〜80wt%配合して調製した.試作したレジンについて, フーリエ変換赤外分光光度計を用い, KBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および90秒間光照射した後の所定時間に経時的に行った.硬化させたレジン中の残存二重結合量(RDB)は, いずれの系の場合も, 光照射開始5分以降対数時間と直線関係で減少した.また, RDBは, 4PN-(TF)_2-(EMA)_6に配合する市販モノマーの配合量の増加にともない単調に減少し, 重合率が増大した.4PN-(TF)_2-(EMA)_6に, UDMAあるいはBMPEPPを配合した場合, 粘度が増大するが, RDBは減少した.
著者
廣瀬 英晴 菊地 久二 宮﨑 紀代美 友清 直 高野 守 吉橋 和江 安斎 碕 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.127-135, 1992
被引用文献数
7

本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, モノマーの種類および触媒組成と重合率との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, 合成したシクロホスファゼン系モノマー3種および市販モノマー8種の計11種に, 6種の触媒組成を配合して調製した.試作したレジンについて, FT-IRを用い, KBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および90秒間光照射した後の所定時間に経時的に行った.硬化させたレジン中の残存二重結合量(RDB)は, いずれのレジンの場合も, 光照射開始5分以降対数時間と直線関係で減少した.重合禁止剤を配合したレジンの場合, 重合率は9G>BPE200≧4G≧3G≧U-2TH>BPE100>EPM800+3G≧2.6E>(EMA)<sub>6</sub>>(EMA)<sub>7</sub>>(EMA)<sub>8</sub>の順となる傾向であった.一方, 重合禁止剤を配合しないレジンの場合, 重合率はBPE200>9G≧4G≧3G≧U-2TH>BPE100>EPM800+3G≧2.6E>(EMA)<sub>6</sub>>(EMA)<sub>7</sub>>(EMA)<sub>8</sub>の順となる傾向であった.シクロホスファゼン系のモノマーを用いたレジンの場合, 重合性官能基の置換数の減少とともに重合率が増大した.EDMA系およびBMPEPP系のモノマーを用いたレジンの場合, エチレングリコール鎖の鎖員数の増加とともに重合率が増大した.11種のモノマーを可視光線重合型アンフィルドレジンとした場合, 重合率は, 触媒組成A(CQ0.50wt%, DMAEM1.00wt%, BHT0.01wt%)およびC(CQ0.30wt%, DB0.15wt%, DMAB-EMA1.40wt%, BHT0.01wt%)を配合した場合が, 比較的高い値を示した.重合禁止剤BHTを配合しない場合, 配合した場合に比較して重合率は高い値を示したが, 保存安定性が低かった.
著者
廣瀬 英晴 菊地 久二 吉橋 和江 安斎 碕 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.213-218, 1991
被引用文献数
10

本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, 光増感触媒の組成と重合率との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, モノマーとして合成したシクロホスファゼン系のP<sub>4</sub>N<sub>4</sub>(CF<sub>3</sub>CH<sub>2</sub>O)<sub>1</sub>[CH<sub>2</sub>=C(CH<sub>3</sub>)COOCH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>O]<sub>7</sub>[4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>]と市販のTri-EDMAを採用し, これに, 光増感触媒の配合量を種々変化させて配合し調製した.光増感剤は, カンファーキノン(CQ)およびジベンゾイル(DB)を用い, 還元剤は, メタクリロキシエチル-p-ジメチルアミノベンゾエートを用いた.18種のレジンについて, フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いKBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および光照射後の所定時間に経時的に行った.残存二重結合量(RDB)は, 光照射前のレジン中の二重結合量に対する百分率で表示した.4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>の場合, RDBは, 光照射開始5分および1日後でそれぞれ56〜78%および47〜71%を示した.また, Tri-EDMAの場合, RDBは, 光照射開始5分および1日後でそれぞれ27〜63%および15〜47%を示した.RDBは, モノマーとして4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>を用いた場合, CQの配合量の増加にともない有意に減少し, 一方, Tri-EDMAを用いた場合はDBの配合量の増加にともない有意に減少した.
著者
廣瀬 英晴 菊地 久二 斉藤 仁弘 小堀 雅教 芝原 健夫 安斎 碕 大橋 正敬
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.517-524, 1989
被引用文献数
1

本研究は, 吸水および溶解量の少ない可視光線重合型レジンの開発を目的として, シクロホスファゼンモノマー3種および市販モノマー3種を用いて可視光線重合型のアンフィルドレジンを試作し, それぞれの硬化物の水中での吸水量, 溶解量, MeOH中での膨潤量, 溶解量, THF中での膨潤量および機械的性質について検討したものである.その結果, 吸水量は, いずれのモノマーを用いた場合も経時的に増大した.また, 30日間水中浸漬した場合の溶解量は, 4PN-(EMA)<sub>8</sub>, 4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>, 4PN-(TF)<sub>2</sub>-(EMA)<sub>6</sub>, Tri-EDMA, BMPEPPおよびBis-GMA+Tri-EDMAの場合, それぞれ順に0.16, 0.20, 0.51, 0.65, 0.17および0.81%を示した.MeOH中での膨潤量は, Bis-GMA+Tri-EDMAおよび4PN-(TF)<sub>2</sub>-(EMA)<sub>6</sub>の場合を除き, いずれも経時的に増加する傾向を示した.30日間MeOH中に浸漬した場合の溶解量は, シクロホスファゼンモノマーを用いた場合および市販モノマーを用いた場合, それぞれ0.09〜0.36および1.36〜5.40%を示した.30日間THF中に浸漬した場合の経時的な膨潤量は, シクロホスファゼンモノマーを用いた場合に市販モノマーを用いた場合と比較して小さかった.一方, 圧縮強さは, いずれのモノマーを用いた場合も230〜275MPaを示し, 曲げ強さは, シクロホスファゼンモノマーを用いた場合は, いずれも45MPa以下を示し, 市販モノマーを用いた場合は59〜90MPaを示した.
著者
林 純子 金子 和幸 井上 豊仁 下村 和則 横瀬 勝美 廣瀬 英晴 西山 實 黒田 隆
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.279-286, 2004-07-25 (Released:2018-04-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

市販石膏溶解剤12製品を組成分析(IR, WDX, TG-DTA)して主成分を同定するとともに,石膏浸漬前後での溶解剤のpH変化,浸漬時間による溶解量を測定した.石膏溶解剤の主成分はN-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N, N', N'-三酢酸三ナトリウムである可能性が高かった.溶解剤の固形分含有率は10.4〜31.8%であった.未使用の石膏溶解剤のpHは,10製品で8〜9を,2製品で13以上を示した.普通石膏硬化物の溶解率は,浸漬時間の増加に件い増大し,pH8〜9の10製品では浸漬2〜3時間で100%を示したが,pH13以上の2製品では浸漬3時間で14.3〜37.4%であった.
著者
齊藤 仁弘 升谷 滋行 塩田 陽二 廣瀬 英晴 平野 進 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.216-220, 2005-04-25 (Released:2018-04-28)
参考文献数
10
被引用文献数
3

可視光応答型酸化チタン光触媒含有塗料の義歯床用レジンに付着したカレー食品に対する洗浄効果について検討した.試験体は, 可視光応答型酸化チタン光触媒含有塗料を義歯床用レジンにコーティングしたのち, カレー溶液中に8時間浸漬した.浸漬後, 可視光線重合器を用いて試験体に20および60秒間光照射した.試験体の色差は, 光照射前後の色調を測定して算出した.L∗値は, 同様の値であったが, 照射時間の延長にともないa∗値は増加し, b∗値は減少した.また, 光照射前後の色差は, 照射時間の延長にともない増加した.これらのことから, 可視光応答型酸化チタン光触媒含有塗料を用いた義歯洗浄の有用性が示唆された.
著者
齋藤 仁弘 金子 和幸 堀江 康夫 小泉 寛恭 大谷 一紀 五十嵐 孝義 塩田 陽二 吉橋 和江 廣瀬 英晴 西山 實
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.124-130, 2001-03-25
被引用文献数
12

フィラー含有量の多い歯冠用硬質レジン(高フィラー型硬質レジン)の4製品, エステニア(EE, ED), アートグラス(AE, AD), ベルグラスHP(BE, BD), グラディア(GE, GD)のそれぞれ2種類(エナメル用, デンチン用)について, それらの曲げ強さ, 曲げ弾性率, ヌープ硬さ, 吸水量および溶解量を測定した. 試験体の作製は, 製造者指示に従い, 測定結果はt-検定(危険率5%)で統計処理を行った. 曲げ強さは96.2〜210.6MPaを示し, エナメル用ではEE>BE>AE>GE, デンチン用では, BD,ED>AD>GDの順に大きな値であった. 曲げ弾性率は6,8〜24.6GPaを示し, エナメル用ではEE>AE, BE>GE, デンチン用ではBD>ED>AD>GDの順に大きな値であった. ヌープ硬さは42.7〜163.8を示し, エナメル用ではEE>BE>AE, GE, デンチン用ではBD>ED>AD, GDの順に大きな値であった. 吸水量は9.7〜28.1μg/mm3を示し, エナメル用ではGE>AE, BE>EE, デンチン用ではGD>AD>BD>EDの順に大きな値であった. 溶解量は0.2〜0.6μg/mm^3を示し, エナメル用およびデンチン用の両者で有意差は認められなかった. 以上の結果から, 高フィラー型硬質レジンは製品ごとの性質を理解した上で, 適切な症例や応用部位に用いるべきであることが示唆された.
著者
塩田 陽二 廣瀬 英晴 林 純子 [サカキ]原 茂弘 石井 語 池谷 正洋 西山 實
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.541-553, 1995-09-25
被引用文献数
10

前報では市販のノンアスベスト鋳造用リングライナーを5群に分類した.そこで, さらに分類別の特性を明らかにすることを目的とし, ライナーテクスチュアのSEM観察, 空隙率および吸水性について検討した.その結果, ライナーの主繊維はA〜D群では, 丸棒状であり, E群では不定形であった.また, 繊維間に繊維化していない球状粒子や微細な粉末状粒子が観察された.ライナーは, アスベストと比較して, A群(ロックウールタイプ)は空隙率が比較的高く吸水量の大きい群と, B〜D群(セラミックファイバー低温用, 同標準用, 同低温用〜標準用タイプ)は空隙率が高く吸水量の小さい群と, E群(カオリンタイプ)は空隙率が低く吸水量の小さい群と分類された.また, D群のNA14(リボンウール)は空隙率が高くかつ特異に吸水量の大きいライナーであった.
著者
安斎 碕 吉橋 和江 成川 雅史 廣瀬 英晴 石川 陽一 赤司 幸勇 西山 實
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.13, no.24, pp.120-121, 1994-09-05

ホスファゼンオリゴマー(ポリホスファゼンリニアーモノマー)の合成と合成したオリゴマーをシクロホスファゼンモノマーに配合し, 光重合した場合の重合体の性質について検討した.合成したオリゴマーの分子量は, 6500および8000であった.オリゴマー2種を10〜30wt%シクロホスファゼンモノマー[4PN(TF)_2(EMA)_6]に配合して, 光重合した場合, 機械的性質が良好であった配合量は, いずれも20wt%であった.