著者
赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.139-147, 1989
被引用文献数
3

授業を対象として,これを分析する方法を開発した.授業を教師と学習者のコミュニケーション過程としてとらえ,教師の教授行動と学習者の学習行動の相互作用を,単位時間の授業のなかから抽出する方法である.その方法は,従来の教授行動,学習行動のカテゴリー分析に改良を加えたものであり,カテゴリーの時系列データから,授業の特徴を表すカテゴリーの遷移パターンを抽出する方法である.その遷移パターンは,ネットワーク構造と階層構造の二つの形で表示することができる.授業の事例に適用し,(1)授業のなかで出現する頻度による遷移パターンの差異,(2)授業者(熟練教師と教育実習生)による遷移パターンの差異を検討した.その結果,遷移パターンの分析から,(1)では,出現頻度が小さくなるにしたがって,ネットワーク構造になること,(2)では,教育実習生は,教師主導型であり,単調な応答パターンであることに対して,熟練教師は,教師と学習者の双方コミュニケーショソ型であり,多様な応答パターンであることがわかった.本研究は,その分析方法の提案と適用結果について報告するものである.

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