著者
横尾 能範
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-7, 1979

複数の専攻コースをもつ大学の入学試験実施後には,志望コースと試験成績とを照合しながら,各コースの定員が充足するように公正な選抜作業が行なわれるべく努力されている.しかし,特定コースヘの志願者の偏りや,選抜ルールの共通理解不足などの理由からその作業が必ずしも円滑に進むとは限らない実情がある.本論は,出願時に志望コースを記入する形の入学試験における合格者選抜の一実態を分析し,選抜の基準となる複数のルール同士が互いに矛盾する場合があることを明らかにした.そこで,各ルールの精神を生かし,かつ矛盾のない一つの総合ルールとしてそれらを体系化してフローチャートに描いた.次に,その総合ルールの初期条件を種々に変えてシミュレーションを実施した結果,被選抜者の第一志望での合格者率,各コースの定員充足率,合格者平均点などその内訳に,初期条件の設定値いかんが一定程度の意図的な影響を与えうることや,選抜作業が著しく簡素化できることを明らかにした.

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