著者
丸岡 正幸 安藤 研 野積 邦義 安田 耕作 伊藤 晴夫 島崎 淳 松〓 理 村上 信乃
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.432-437, 1982-04
被引用文献数
1

千葉大学医学部泌尿器科と旭中央病院泌尿器科において治療を受けた前立腺癌284例の予後調査を行ない,内分泌療法を中心に集計した。各stage別の5年実測生存率は,stage A77%,B73%,C47%,D31%であった。初回治療として内分泌療法施行例は205例(stage A6例,B9例,C43例,D147例)であった。stage C・D施行例の5年生存率は各々50%,39%であり,stageDを,(1)ホルモン剤と去勢(103例),(2)ホルモン剤単独(24例),(3)去勢単独(20例),(4)内分泌療法未施行(21例)に分け,5年生存率を比較すると,各々,52%,29%,19%,8%と(1)群が最も良好な成績であった。さらに,ホルモン剤投与率の比較では, stageDの高投与率群(81例)と低投与率群(46例)の5年生存率は各々,41%,37%であった。予後に影響する因子として,(1)血清酸性フォスファターゼ,(2)組織型,(3)初回治療としてのTURを考えた。(1)は治療により1度でも正常化すること。(2)は高分化型になるほど予後は良く,(3)はstage Cは前立腺癌を悪化させるが,stage B,Dは予後に影響しないと現時点では考えた。死因は,stage D内分泌療法施行例で,前立腺癌死が第1位(75%),心血管障害死は全例4年稲井に起き,頻度も11パーセントにとどまり,内分泌療法施行時の障害にはならないと考えた。

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