著者
田中 方士 渡辺 隆 宮内 義浩 伊良部 徳次 村上 信乃
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.105-107, 1994-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
8

慢性腎不全で内シャントによる血液透析を受けている356例571手術につき, そのシャント閉塞の危険因子につき検討を行った. 検討した因子は, 手術時年齢, 性別, 原疾患, Ht値である.全体での5年開存率は68%, 10年では57%であった. 性別, Ht値は, シャント開存に関係なかったが, 原疾患 (糖尿病), 手術時年齢はシャント開存に影響を与えた.
著者
安藤 研 布施 秀樹 島崎 淳 村上 信乃 松嵜 理
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.1399-1405, 1988-08-20
被引用文献数
3 8

前立腺癌は経過中に組織学的分化度を変化し,再燃後には,低分化傾向がみられることを既に報告した(日泌尿会誌,74:989,1983).今回さらに症例を追加し,生検時と剖検時の病理組織像の比較を行なった.用いた37例は,全例癌死であり,いずれも内分泌療法が施行された.生検剖検問に取扱い規約による分化度の変化をみたものが9例,不変のものは28例であり,前者はすべて中分化型が低分化型となったもので,後者は中分化型12例,低分化型16例であった.低分化型で分化度の不変のものに内分泌療法無効例が多かった.生検剖検問で取扱い規約により不変とされた28例でもGleason scoreでみると,その40%は剖検時scoreが大となっていた.したがって内分泌療法後に再燃したものは,治療前に比べて,低分化傾向になるとみなせた.剖検時,転移部位の分化度は,多くは,原発巣と同じ分化度であった.
著者
五十嵐 辰男 村上 信乃 富岡 進 阿部 功一 井坂 茂夫 岡野 達弛 島崎 淳松 嵜 理
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1310-1315, 1989-09-20
被引用文献数
7 1

1978年1月より,1988年7月までに,千葉大学および旭中央病院泌尿器科で腎摘除術を施行した151例を集計した.偶然に発見された腎癌(「偶然発見癌」)は41例であり,受診動機としては他疾患治療中が28例,人間ドックが10例,集団検診3例であった.このうち,34例(82.9%)が超音波断層法で,4例がCTスキャンで,3例が排泄性腎盂造影で最初に発見された.「偶然発見癌」の腎癌全体に占める割合は,年次を経るにつれて有意に増加した(p<0.001).初診時または発見時,顕微鏡的血尿を認めたのは8例(19.5%)に過ぎず,スクリーニングとして検尿のみでは不十分で,超音波断層法も必要であると思われた.なんらかの症候を有する「症候癌」は102例,転移巣が最初に診断される「オカルト癌」は8例であった.「偶然発見癌」はこれらに比し有意にlow stage(p<0,001),low grade(p<0.001)であった.さらに,pT1〜2b,または長径10cm以下の症例において「偶然発見癌」の生存率は「症候癌」より良好であり(p<0.05),このような症例では腫瘍の早期発見による治療効果があったと思われた.
著者
丸岡 正幸 安藤 研 野積 邦義 安田 耕作 伊藤 晴夫 島崎 淳 松〓 理 村上 信乃
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.432-437, 1982-04
被引用文献数
1

千葉大学医学部泌尿器科と旭中央病院泌尿器科において治療を受けた前立腺癌284例の予後調査を行ない,内分泌療法を中心に集計した。各stage別の5年実測生存率は,stage A77%,B73%,C47%,D31%であった。初回治療として内分泌療法施行例は205例(stage A6例,B9例,C43例,D147例)であった。stage C・D施行例の5年生存率は各々50%,39%であり,stageDを,(1)ホルモン剤と去勢(103例),(2)ホルモン剤単独(24例),(3)去勢単独(20例),(4)内分泌療法未施行(21例)に分け,5年生存率を比較すると,各々,52%,29%,19%,8%と(1)群が最も良好な成績であった。さらに,ホルモン剤投与率の比較では, stageDの高投与率群(81例)と低投与率群(46例)の5年生存率は各々,41%,37%であった。予後に影響する因子として,(1)血清酸性フォスファターゼ,(2)組織型,(3)初回治療としてのTURを考えた。(1)は治療により1度でも正常化すること。(2)は高分化型になるほど予後は良く,(3)はstage Cは前立腺癌を悪化させるが,stage B,Dは予後に影響しないと現時点では考えた。死因は,stage D内分泌療法施行例で,前立腺癌死が第1位(75%),心血管障害死は全例4年稲井に起き,頻度も11パーセントにとどまり,内分泌療法施行時の障害にはならないと考えた。