著者
蘆原 郁
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.838-844, 1999-12-01
被引用文献数
2

聴覚内の非線形性に由来する差音及び結合音の可聴域を明らかにするため,周波数掃引音による差音及び結合音知覚閾値測定法を提案した。周波数変化方向を手がかりとして非線形成分と原音を知覚的に分離させる本手法により,健聴者を被験者とする閾値測定を行った結果,広い周波数帯域にわたり,閾値上20dB程度の刺激で結合音,閾値上50dB程度の刺激で差音がそれぞれ知覚できることが確認された。しかし,可聴周波数帯域をこえる超音波では,提示音圧が80dB SPLに達しても差音や結合音が知覚されなかった。結果から,可聴周波数全域にわたり,差音及び結合音の閾値がMAFに対して,ほぼ一定の関係に保たれていることが示唆された。

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