著者
内田 照久
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.396-405, 2000
参考文献数
20
被引用文献数
18

話速変換音声に対する主観的なピッチ感を測定した。変換音声には平均F_0に有意差がないにも関わらず, 発話速度の低下に伴って音声はより低く認知されていた。音声を150%伸長した場合の認知的なバイアスの推定値は, 約-14.0melであった。次に話速変換による話者の性格印象への影響を検討した。性格特性5因子モデルに基づく測定の結果, 協調性は速度の低下に伴っていったん上昇, 更に遅くなると低下した。外向性, 開放性, 誠実性では, やや速い発話にピークがあり, 速度の低減と共に低下した。情緒不安定性にあまり影響はなかった。聴取者は性格印象を特性因子ごとに多元的に評価しており, 話速変換により組織的に影響を受けていた。

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