著者
伊藤 光史 赤羽 義章
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.1051-1058, 2000-11-15
参考文献数
21
被引用文献数
10 24

マサバを1週間塩漬にした後, 7ヶ月間糠床に漬けてへしこを製造し, 工程中の一般成分とエキス成分の変化を調べた。塩漬では, 食塩の急速な浸透に伴い, 魚肉は強く脱水した。この間に一部のタンパク質が流出したが, 脂質は保持, 濃縮された。糠漬中に, 魚肉の水分, 灰分, 脂質はやや減少したが, タンパク質はほとんど減少しなかった。塩漬と糠漬中にヒスチジンは激減したが, 他の遊離アミノ酸と低分子ペプチドが著増し, このことはへしこ特有の呈味に寄与すると考えられた。イノシン酸などのヌクレオチドは塩漬で激減し, 糠漬の初期にはほぼ消失した。有機酸は糠漬の初期まで減少し, その後大きく増加し, それに伴い魚肉のpHが大きく低下した。

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