著者
野村 信威 橋本 宰
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.75-86, 2001-07-15
被引用文献数
2

本研究における目的は,老年期における回想という行為と適応との関連について検討することである。また回想において適応と関連を示す要因は,回想行為そのものよりも回想の質であるという仮説のもとに,「回想の情緒的性質」および「過去のネガティブな出来事を再評価する傾向」を測定する尺度を作成し,これらの要囚と人生満足度や抑うつ度などとの関連について,老人大学受講者208名および大学生197名を対象に質問紙調査による検証を試みた。その結果,世代や性別によりその関連の仕方は異なるものの,回想の情緒的性質が適応度と関連することが認められ,ネガティブな出来事の再評価傾向は主に青年期で,回想量は老年期の男性で特徴的に適応度を説明した。そのため老年期の男性で頻繁に過去を振り返ることは適応度の低さと関連すると考えられた。さらに老年期の男性のみに,ポジティブな回想の想起しやすさと回想量との交互作用が認められ,ポジティブな回想と適応度の関連する程度は回想量によって異なると考えられた。

言及状況

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私の知る限り、Websterの尺度の日本語版は作成されていないようです。 したがって、老人用の回想機能尺度は、他の回答者様達が紹介しているような日本の尺度を使用するしかないと思います。 下記のような論文には、日本で作成された尺度が出ています。ただ、下のリンク先のうち、発達心理学研究の本文は、質問者様の自宅のパソコンでは無料では読めません(私の勤務先は、これらのデータの提供会社と契約している ...

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