著者
友野 隆成 橋本 宰
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.220-230, 2005-03-31
被引用文献数
4

本研究では, 改訂版対人場面におけるあいまいさへの非寛容尺度(Revised Interpersonal Intolerance of Ambiguity Scale; IIAS-R)を作成し, その信頼性および妥当性の検討を行った.研究1では, 自由記述調査の結果をもとに項目を作成し, 確認的因子分析により初対面の関係におけるあいまいさへの非寛容, 半見知りの関係におけるあいまいさへの非寛容, 友人関係におけるあいまいさへの非寛容の3つの下位尺度を構成した.また, 得点分布や記述統計量の確認を行った.そして, 内的整合性を検討し, ほぼ十分な信頼性(α=.65∿.77)を得ることができた.研究2では, IIAS-Rの各下位尺度と対人不安尺度, 独断主義尺度との相関を検討し, ある程度の構成概念妥当性(r=.22∿.52)を確認することができた.研究3では, IIAS-Rの3ヶ月間の再検査信頼性を検討し, ほぼ十分な安定性(r=.66∿.73)を確認することができた.以上より, IIAS-Rは信頼性および妥当性を兼ね備えた尺度であることが示唆された.
著者
小西 瑞穂 大川 匡子 橋本 宰
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.214-226, 2006 (Released:2006-03-31)
参考文献数
33
被引用文献数
5 5

わが国では,自己愛人格傾向の測定について,Raskin & Hall (1979) やEmmons (1984) の自己愛人格尺度(Narcissistic Personality Inventory; NPI)が邦訳・検討されているが,回答方式や因子構造は研究者によって異なっている.そこで,本研究ではまだ邦訳されていないRaskin & Terry (1988) のNPIを邦訳し,新たな自己愛人格傾向尺度 (Narcissistic Personality Inventory-35; NPI-35) の作成を目的とした.調査1では探索的因子分析によって35項目5因子構造(注目欲求,誇大感,主導性,身体賞賛,自己確信)を見出した.次に調査2では,他集団のサンプルを対象に確認的因子分析を行い,十分な交叉妥当性を確認した.また,調査3においては,高い再検査信頼性が確認された.調査4ではNPI-35の構成概念妥当性を検討するために,自己愛人格目録短縮版,顕示尺度,賞賛獲得欲求尺度,自尊感情尺度との関連を検討した.その結果,NPI-35および各下位尺度と他尺度との相関関係が先行研究とある程度一致し,十分とは言えないが,構成概念妥当性が確認された.
著者
遠藤 久美 橋本 宰
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.86-94, 1998-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
3 2

This study aimed at clarifying the relationship between sex-role identity and self-actualization in terms of mental health. Subjects consisted of 86 male and 128 female undergraduate students, and they answered Self Actualization Scale (SEAS) and Bern Sex Role Inventory (BSRI). Our results suggested that female were more self-actualized than male, and that Androgynous and/or Masculine group were more self-actualized than Feminine and/or Undifferentiated group. The results of multiple regression analyses indicated that high masculinity was conductive and high femininity was detrimental to self-actualization. It was also suggested that masculinity was necessary for male to accept themselves and their weaknesses, and that femininity gave a positive effect on male only in company with masculinity. In contrast, for female, masculinity would provide some difficulties to accept themselves. Moreover, female would be required efforts to integrate the demands out of social values and sex-role that they possess.
著者
野村 信威 橋本 宰
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.75-86, 2001-07-15 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
4

本研究における目的は,老年期における回想という行為と適応との関連について検討することである。また回想において適応と関連を示す要因は,回想行為そのものよりも回想の質であるという仮説のもとに,「回想の情緒的性質」および「過去のネガティブな出来事を再評価する傾向」を測定する尺度を作成し,これらの要囚と人生満足度や抑うつ度などとの関連について,老人大学受講者208名および大学生197名を対象に質問紙調査による検証を試みた。その結果,世代や性別によりその関連の仕方は異なるものの,回想の情緒的性質が適応度と関連することが認められ,ネガティブな出来事の再評価傾向は主に青年期で,回想量は老年期の男性で特徴的に適応度を説明した。そのため老年期の男性で頻繁に過去を振り返ることは適応度の低さと関連すると考えられた。さらに老年期の男性のみに,ポジティブな回想の想起しやすさと回想量との交互作用が認められ,ポジティブな回想と適応度の関連する程度は回想量によって異なると考えられた。
著者
福岡 欣治 橋本 宰
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.403-409, 1997-12-26 (Released:2010-07-16)
参考文献数
28
被引用文献数
12 12

This study investigated perceived social support, emotional as well as instrumental, from family members and friends, and examined their stress-buffering effects on depression in college students and middle-aged adults in Japan. For both samples, family members were relatively more important sources of instrumental support, whereas friends were primarily perceived as emotional support providers. No gender differences were found for the middle-aged adults, but as in previous studies, women in the college sample perceived more support for them than men. A series of hierarchical regression analyses with support by stress interaction terms revealed distinctive patterns of support effects on depression for men and women of each sample. Characteristics of perceived social support in each sample were described, and overall results suggested that it is essential in social support research to take the meanings of supportive relationship into consideration, in the context of social and developmental factors of the samples under study.
著者
小西 瑞穂 大川 匡子 橋本 宰
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.214-226, 2006
被引用文献数
5

わが国では,自己愛人格傾向の測定について,Raskin & Hall (1979) やEmmons (1984) の自己愛人格尺度(Narcissistic Personality Inventory; NPI)が邦訳・検討されているが,回答方式や因子構造は研究者によって異なっている.そこで,本研究ではまだ邦訳されていないRaskin & Terry (1988) のNPIを邦訳し,新たな自己愛人格傾向尺度 (Narcissistic Personality Inventory-35; NPI-35) の作成を目的とした.調査1では探索的因子分析によって35項目5因子構造(注目欲求,誇大感,主導性,身体賞賛,自己確信)を見出した.次に調査2では,他集団のサンプルを対象に確認的因子分析を行い,十分な交叉妥当性を確認した.また,調査3においては,高い再検査信頼性が確認された.調査4ではNPI-35の構成概念妥当性を検討するために,自己愛人格目録短縮版,顕示尺度,賞賛獲得欲求尺度,自尊感情尺度との関連を検討した.その結果,NPI-35および各下位尺度と他尺度との相関関係が先行研究とある程度一致し,十分とは言えないが,構成概念妥当性が確認された.
著者
野村 信威 橋本 宰
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.75-86, 2001-07-15
被引用文献数
2

本研究における目的は,老年期における回想という行為と適応との関連について検討することである。また回想において適応と関連を示す要因は,回想行為そのものよりも回想の質であるという仮説のもとに,「回想の情緒的性質」および「過去のネガティブな出来事を再評価する傾向」を測定する尺度を作成し,これらの要囚と人生満足度や抑うつ度などとの関連について,老人大学受講者208名および大学生197名を対象に質問紙調査による検証を試みた。その結果,世代や性別によりその関連の仕方は異なるものの,回想の情緒的性質が適応度と関連することが認められ,ネガティブな出来事の再評価傾向は主に青年期で,回想量は老年期の男性で特徴的に適応度を説明した。そのため老年期の男性で頻繁に過去を振り返ることは適応度の低さと関連すると考えられた。さらに老年期の男性のみに,ポジティブな回想の想起しやすさと回想量との交互作用が認められ,ポジティブな回想と適応度の関連する程度は回想量によって異なると考えられた。