著者
永田 靖
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.78-88, 1997-04-15
被引用文献数
1

回帰分析において寄与率R^2,自由度調整済み寄与率R*^2は,モデルの適合度を表す指標として常に参照される統計量である.さらに,品質管理の分野では自由度2重調整済み寄与率R**^2が参照されることも多い.しかし,自由度調整済み寄与率や自由度2重調製済み寄与率は変数選択の立場から導入されたものである.変数選択の観点からよい統計量であるかどうかと,母寄与率の点推定の観点からよい統計量であるかどうかは別の問題である.本稿では,修正寄与率R*^<2+>=max {0, R*^2},R**^<2+>=max{0, R**^<2+>}を含めて,母寄与率の点推定の立場から検討する.得られる結論は次のとおりである.推定精度の観点からは,どのタイプの寄与率もサンプルサイズがかなり大きくないと信頼しにくい.このことを念頭に入れた上でモデルの適合度の尺度として用いるのならば,バイアスの程度とMSEの観点からR*^<2+>を用いるのが一番望ましい.R^2には重大な上側へのバイアスが存在する.また,自由度2重調製済み寄与率R**^2やその修正寄与率R**^<2+>は下側へのバイアスが重大であり,MSEも他の寄与率に比べて大きいので母寄与率の点推定量として適切ではない.

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