- 著者
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戸田 有一
- 出版者
- 一般社団法人日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.1, pp.25-33, 1993-07-10
統合保育が直面している課題の一つは, 発達遅滞幼児と健常幼児の仲間関係をいかによりよくするかである。この課題の解決への糸口を探すため, 幼児の軽度精神発達遅滞幼児 (MR児) と健常幼児に対する態度 (行為意図) とその理由を面接で尋ねた。6つの保育園で, それぞれ3人の幼児 (1人のMR児と2人の健常児) をターゲットに選び, その6園の210人の幼児 (4歳児が104人, 5歳児が106人) に個別面接を行った。写真で提示したターゲット児と散歩の時に手をつなぎたいか, お昼を隣で食べたいかなどを, その行為を行っている図版を示しつつ尋ねた。MR児に対する行為意図と健常児に対する行為意図に一定方向の違いは見られなかった。ターゲット児による行為意図の違いへの社会的接触の差異・年齢・性別の3要因での交互作用は有意であったが, 他の交互作用や主効果は有意ではなかった。選好・非選好の理由としてMR児は能力的側面に, 非選好理由として健常児は性格的側面に言及されることが多かった。