- 著者
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戸田 有一
- 出版者
- 一般社団法人 日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.4, pp.460-470, 2013
本論では,筆者が様々な学校に関わる際に,①自分自身の研究関心が実践支援にどのような影響を与えているのか,及び②自分自身の実践支援が研究関心にどのような影響を与えているのかについて,論じていく。筆者の学校に関する研究関心は,いじめの本質理解についてであり,実践支援は,いじめ対策としてのピア・サポート実践などである。まず,問題を把握するための現場の用語での枠組みと研究用語による枠組みのズレの問題について述べる。次に,いじめ研究を中心とした筆者の研究関心と実践支援の相互の影響について述べる。その際に,いじめなどの関係内攻撃に関する見方,いじめのプロセスモデル,いじめ状況のアセスメントに関する提案をする。そのうえで,実践支援の中心となるいじめ対策プログラム導入のコンサルテーション活動を巡って考えてきたことをまとめ,最後に,いじめ研究の今後の課題について論じる。