著者
金子 孝夫 大室 仲 間野 一則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.1196-1208, 2000-11-25

新聞や広報誌などの最新情報や地域情報を朗読した音声を, 音声符号化技術により情報圧縮してPCサーバのディスクに蓄積し, ISDN回線を使って視覚障害者の家庭の受信装置に配信する朗読配信システムを開発した.朗読音声の圧縮には, 低ビットレート音声符号化技術DualSpeechを開発して導入し, 朗読音声の品質をほとんど劣化させることなく, 情報量を約1/18に削減して高速に配信できるようにした.また, 受信装置に内蔵した1メガバイトのメモリに, 約90分間の朗読音声をコンパクトに蓄積でき, しかも蓄積した情報内容は, インデックス検索機能によって瞬時に検索できる.これらの特長によって, 配信に要する時間と通信料を削減するとともに, 視覚障害者の知りたい情報をいつでも繰り返し聴ける魅力ある朗読配信サービスを実現した.この朗読配信システムの性能を評価した結果, 朗読音声データは再生時間の約1/8の短時間で受信でき, 再生音声はパーソナルハンディホンシステム(PHS)と同等の高い品質が得られた.また, 約50名の視覚障害者を対象に, 音声圧縮による朗読配信システムを使ったサービス実験を行った.その結果, 視覚障害者が自ら選択できる身近な情報を充実すること, 情報内容の更新頻度を高くすること, 受信装置の操作性をいっそう向上することなどの課題が, アンケート結果から明らかとなった.

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こんな論文どうですか? 高品質音声圧縮技術を用いた視覚障害者のための朗読配信システム(金子孝夫ほか),2000 http://id.CiNii.jp/NWbkL

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