著者
徳元 大輔 池戸 丈太朗 金子 孝夫 片岡 章俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.1870-1883, 2004-09-01
被引用文献数
1

今日,ネットワークの双方向性を活用し,情報を受信するだけではなく,ネットワークの情報発信性という特性を有効に活用するためのサービスやシステムが注目を集めている.本論文では,IPネットワークを介して演奏者間のインタラクションがない合奏(以降,遠隔地間の合奏と記述)を行い,更に遠隔地の聴衆に演奏音間の時間同期を確立して,聞かせることができる遠隔合奏システムヘの適用を目的に開発した同期再生技術について報告する.また,音響信号間の時間同期を確立するための同期情報の検出方法としては,帝域制限相関法を考案した.この帯域制限相関法により検出される同期情報の精度を評価した結果, RTP(Real-Time Transport Protocol)によるパケット単位の同期では,最大27msとなる同期ずれを解消することができ,0.1ms以下(サンプリング周波数44.1 kHz)の精度で演奏音間の同期再生を実現できることが分かった.また,開発した同期再生技術を評価するための同期再生実験評価システムを構築し,その性能についても評価を行った.
著者
金子 孝夫 大室 仲 間野 一則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.1196-1208, 2000-11-25

新聞や広報誌などの最新情報や地域情報を朗読した音声を, 音声符号化技術により情報圧縮してPCサーバのディスクに蓄積し, ISDN回線を使って視覚障害者の家庭の受信装置に配信する朗読配信システムを開発した.朗読音声の圧縮には, 低ビットレート音声符号化技術DualSpeechを開発して導入し, 朗読音声の品質をほとんど劣化させることなく, 情報量を約1/18に削減して高速に配信できるようにした.また, 受信装置に内蔵した1メガバイトのメモリに, 約90分間の朗読音声をコンパクトに蓄積でき, しかも蓄積した情報内容は, インデックス検索機能によって瞬時に検索できる.これらの特長によって, 配信に要する時間と通信料を削減するとともに, 視覚障害者の知りたい情報をいつでも繰り返し聴ける魅力ある朗読配信サービスを実現した.この朗読配信システムの性能を評価した結果, 朗読音声データは再生時間の約1/8の短時間で受信でき, 再生音声はパーソナルハンディホンシステム(PHS)と同等の高い品質が得られた.また, 約50名の視覚障害者を対象に, 音声圧縮による朗読配信システムを使ったサービス実験を行った.その結果, 視覚障害者が自ら選択できる身近な情報を充実すること, 情報内容の更新頻度を高くすること, 受信装置の操作性をいっそう向上することなどの課題が, アンケート結果から明らかとなった.