著者
森 偉明 鈴木 智 安野 貴之 堀越 力
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.409-419, 1995-03-25
被引用文献数
8

3次元物体を認識する際,階層的にマッチングしていくのが最も効率的である.従来,詳細な3次元構造を抽出した後,わざわざそれを粗くすることによって階層的な構造を作ることがよく行われている.しかし,最初に詳細な3次元構造を得るのは非常に困難であり,かつ大量な計算が必要であるため,このようなアプローチは極めて非効率である.本論文では,まず,直接に粗い3次元構造から順次に多重スケール3次元構造を抽出できる手法を提案する.物体が存在する空間を最初に粗いボクセルに分割し,カメラのレンズ中心と画像上の特徴点を結んだ逆投影線の通るボクセルに対してある値を加算するという3Dボーティングを行う.加算値の高いボクセルは実際に3次元特徴点が存在する領域として抽出する.更に,3次元特徴点が存在するボクセルを再分割し,3Dボーティングを行うことを繰り返すことによって,効率的に粗いボクセルから細かいボクセルまでの物体の階層的な構造を抽出できる.次に,本論文では,画像上の特徴点の位置ずれとカメラレンズ中心の位置ずれによる3Dボーティングへの影響を解析する.そして,これらの誤差の影響を抑えるために,3Dボーティング後のボクセル空間に対して◸^2Gフィルタを掛けることが有効であることを示す.提案した手法を実画像に適用した結果では,複雑なシーンの6枚の画像から正確に階層的な3次元構造を抽出できた.

言及状況

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