著者
今水 寛 宇野 洋二 川人 光男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.932-941, 1996-05-25
被引用文献数
14

計算論的なアプローチでは, 生体が外部座標(視覚の作業座標など)と身体座標(関節角や運動指令など)との間の座標変換に対応する内部モデルを獲得し, 速く正確な運動制御を可能にしていると考えられている. 本研究では身体座標を含む座標変換の内部モデルが適応的に変化するかどうかを調べるため, 位置計測装置とCRT画面を用いて, 肘と肩の関節角をそれぞれ0.5倍, 1.25倍するように視覚環境を変換した条件下で, 被験者に繰り返し到達運動の訓練を行わせた. 到達運動の正確さは次第に向上し, 学習が起きていたことを示していた. 更に, 実際に使っている腕とは反対側の腕の関節角変換を学習させたところ, 実際に使っている腕の関節角変換よりも難しかった. また, 実際に使っている腕の関節角変換を両腕で交互に学習するときには, 学習効果の両手間転移があることがわかった. 以上の結果は, 被験者が上記のような変換を身体座標での線形変換として学習していたこと, 中枢神経には身体座標を含む座標変換の内部モデルが存在し, 外部環境や筋骨格系の変化に応じて, 比較的短時間で適応的に変化することを示唆している.

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こんな論文どうですか? 身体座標を含む座標変換の内部モデル : 到達運動学習中の内部モデルの適応的変化,1996 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003227529
こんな論文どうですか? 身体座標を含む座標変換の内部モデル : 到達運動学習中の内部モデルの適応的変化,1996 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003227529

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