著者
蓑輪 顕量 林 隆嗣 今水 寛 越川 房子 佐久間 秀範 熊野 宏昭
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

仏教分野は文献を中心に、止観の実践と理論とがどのように形成されたか、実践に伴う負の反応にどう対処したのかを明らかにし、また心理学、脳科学(認知行動科学)との接点を探る。脳科学分野では瞑想時の脳活動を熟練者、中級者を対象に計測し、瞑想時の脳活動を計測し、予想される負の側面について、注意機能に与える影響を検証する。心理学分野ではマインドフルネス瞑想のグループ療法の参加者を対象にランダム化比較試験を実施し、媒介変数の絞り込み、意図通りに進まない場合の対処法、有害事象の有無について検討する。さらに初学者に止と観の瞑想の順番を変えて実習させた場合に生じる問題点、およびその対処方法について検討する。
著者
今水 寛
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.152-160, 2001
参考文献数
18
被引用文献数
1

人間は目や耳を通して外部世界から情報を得て,適切な情報処理を行い,外部世界の対象物に働きかけている.言語や思考など,人間に特有と考えられている高度な脳機能や知性は,氷山の一角で,海面下でそれらを支えているのは,他の動物にも遍く備わる感覚情報処理機能や運動制御機能である.特に感覚と運動を統合する機能は重要であると考えられる.筆者らは,コンピュータ7ウスと対応するカーソルの間に回転変換を入れて,わざと使いにくくしたマウス(回転マウス)の操作を,被験者がどのように学習するかを詳細に調べた.その結果は,感覚運動統合を学習する脳の仕組みと,感覚運動統合を基礎とした高次認知機能を解明する糸口となった.
著者
今水 寛 宇野 洋二 川人 光男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.932-941, 1996-05-25
被引用文献数
14

計算論的なアプローチでは, 生体が外部座標(視覚の作業座標など)と身体座標(関節角や運動指令など)との間の座標変換に対応する内部モデルを獲得し, 速く正確な運動制御を可能にしていると考えられている. 本研究では身体座標を含む座標変換の内部モデルが適応的に変化するかどうかを調べるため, 位置計測装置とCRT画面を用いて, 肘と肩の関節角をそれぞれ0.5倍, 1.25倍するように視覚環境を変換した条件下で, 被験者に繰り返し到達運動の訓練を行わせた. 到達運動の正確さは次第に向上し, 学習が起きていたことを示していた. 更に, 実際に使っている腕とは反対側の腕の関節角変換を学習させたところ, 実際に使っている腕の関節角変換よりも難しかった. また, 実際に使っている腕の関節角変換を両腕で交互に学習するときには, 学習効果の両手間転移があることがわかった. 以上の結果は, 被験者が上記のような変換を身体座標での線形変換として学習していたこと, 中枢神経には身体座標を含む座標変換の内部モデルが存在し, 外部環境や筋骨格系の変化に応じて, 比較的短時間で適応的に変化することを示唆している.