著者
藤田 昌彦 雨海 明博 皆川 双葉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1897-1905, 1996-11-25
被引用文献数
12

サッカード(Saccade,跳躍性眼球運動)最中の視標の系統的なステップバックによって適応が生じて,数百回の試行でゲインが変化する.本論文では,これまで試みられてきた視覚依存性サッカード以外に,記憶依存性サッカードにおいても適応が生じること,適応によって1種類のサッカードのゲインを変化させても,適応を施さなかった他の種類のサッカードのゲイン変化はわずかであり,同時に逆向きのゲイン変化も可能であるという適応の独立性を報告する.適応過程での修正サッカードは両者共通に,ステップバックした視標に導かれた視覚依存性サッカードであった.このことは修正サッカード中の信号のみで適応が進むという可能性を否定する.サッカードの誤差知覚がさかのほって第1サッカードを生成した信号に干渉を与えて学習が進むという可能性,あるいは,誤動作が記憶され,次回以降の同種同サイズのサッカードに働きかけて,学習が生じる可能性の2通りが考えられる.そこで視標の修正ステップに数百ミリ秒の遅延を与えたときの適応の有無を調べた.これらをもとにして,サッカードならびにバリスティックな随意運動一般における学習様式を考察する.

言及状況

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