- 著者
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竹上 健
後藤 敏行
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理
- 巻号頁・発行日
- vol.97, no.509, pp.15-22, 1998-01-23
本論文では, 1台のカメラで入力した画像を処理することにより, 被験者に非接触でかつ頭部の固定や眼鏡等の装着なしに高精度な視線検出が可能なアルゴリズムについて述べる. 本手法は, 視線方向の変化に伴って角膜における光源の反射像の位置が虹彩領域 (黒目部分) 内で変化することに着目したもので, 虹彩領域内の角膜反射像の相対位置と視線方向との関係式に基づき, 画像処理により視線方向を推定するものである. 従来の瞳孔像と角膜反射像を利用する方法や頭部の方向を基準として視線方向を推定する方法と比較して, 照明系の光学条件が緩和でき, また安定な特徴として得られる角膜反射像や虹彩領域を利用することにより, 頭部に固定や指標等を装着することなく高精度な計測が可能になる. 評価実験の結果, 頭部が±30mm程度揺らいだ場合でも±15deg.の範囲で±0.5deg.の精度で視線方向の検出が可能であり, 本手法の有効性が検証できた.