著者
渡邊 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.445-453, 1996-06-25
被引用文献数
2

圧縮されたデータに直接画像処理が適用できる符号化方式として,筆者らはさきにB-spline曲面を用いた画素値変化の近似手法(B-spline符号化)を提案し,圧縮効率についても従来のDCT方式と同等以上の性能が得られることを示した.一方,画像データを扱う各種圧縮符号化システムのなかには, 1枚の画像に対してあらかじめ設定された符号量で符号化を終了することが要求される場合がある.しかしB-spline符号化に関しては,このような符号量制御問題はいまだ検討されていないのが現状である.本論文では,上記問題点に対する実現手段を提案し, B-spline曲面の圧縮ツールとしての性能を強化することを目的としている.ここでは符号化レートが設定されたときに,絵柄の細かさや実際の発生符号量に応じて,ブロック単位での適応的なフィードバック処理を行うことによって符号量を制御している.性能評価の結果,従来のDCT方式と同等以上の圧縮性能を保ったまま,実際の発生符号量と設定符号量とのずれが1%程度におさまることが示され, B-spline符号化においでも符号量制御が実現可能であることが確認できた.

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