著者
松尾 真一郎 尾形 わかは
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.511, pp.1-6, 2002-12-09
被引用文献数
1

電子投票は暗号プロトコルの研究における有望な応用形態の1つと考えられており,これまでにも数多くの研究がなされている.既存の方式のほとんどは,一般的な選挙を主な用途として,投票者1人が1票を投じる形態の電子投票を実現したものであった.一方,現実の世界では,株主総会の投票や,持ち点を複数の選択肢に分配するアンケートのように,各投票者が個別の複数の票を持ち,場合によっては複数の選択肢に分配して投票を行うケースが存在する.既存の投票方式は,これらの場合に対して現実的ではない.本稿では,各投票者がそれぞれ異なる複数の票を持ち,複数の候補に分配して投票を行うことができる,新たな電子投票方式を提案する.本稿では,提案投票方式に対する要求条件を示し,次にプロトコルの提案を行い,提案プロトコルがこの要求条件を満たすことを示す.このプロトコルでは,各投票者の投票内容のプライバシは守られ,また,各投票者は不正な投票を行うことができない.提案プロトコルはゼロ知識証明が含まないため,他の投票方式に比べて実用的である.

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